Japan BP 2024

皆さんこんにちは!!年も明けまして、めでたく2025年を迎える事ができましたね!さて、そんな年末年始、成人式などなどのイベントが終わってしまえば待っているのはなんでしょう。そう、期末テストです。来年もKDSの後輩達と一緒に日吉で授業を受ける先輩は今年何人いるのでしょうか。噂によるともう来日が決まっている人もいるとか、、、

そんな話はさておき、新年一発目のブログはJapan BPについて27期の小澤玲さんに書いていただきました🔥 KDSが誇るつよつよディベーターの彼女は今回どんな活躍を残したのでしょうか!!ぜひご覧ください!!


Table of contents:

1. はじめに
2. Japan BP について
3. 大会まで
4. 大会1日目(R1〜R4)
5. 大会2日目(R5 & 決勝トーナメント)
6. おわりに


1. はじめに

こんにちは、27期の法学部1年小澤玲です。ブログを書くのは春のネモフィラ杯ぶりなので、執筆現在で約8ヶ月ぶりのこんにちはですね。そちらのブログでも書いたのですが、改めて簡単に自己紹介をしておきます。
私はディベート未経験の帰国生(小学生の時に3年間シンガポールに住んでいました)で、高校の時から存じ上げている先輩方がいらっしゃったことでKDSの存在を知り、4月からディベートを始めました。あまり深く考えずに入サーしたのですが、それからは競技ディベートの奥深さに驚かされる毎日で、「これできた嬉しい!」「これできない悔しい!」を繰り返すうちにここまできてしまいました。その過程で幾度となくモチベの減退やら実力の停滞やらに悩みつつも、優しい先輩方と同期にいつも支えていただきまくってなんとか続けられています。
ディベート外では紅茶とかスイーツとか自然とかそんなものが好きです。最近はおいしいメロンパン探しにハマっているので、いいお店をご存知の方はぜひお声掛けください!今回は12月7日から8日にかけて24期の理紗と出場したJapan BPについてのブログということで、まだまだディベーターとして手探り状態の私に果たして参考になるようなものが書けるのかという不安はあるのですが、ゆるゆるとしたことしか書けないからこそ、一年生として感じてしまいがちな国際大会へのハードルを少しでも下げ、来年以降の一年生にも挑戦してもらうきっかけを作るようなブログにできればと思います。

2. Japan BPについて

Japan BP(通称JBP)はJPDUによって冬に開催されるBPの国際大会です。例年は対面で開催されているようですが、今年はオンライン形式での開催で、1日目は予選4ラウンド、2日目は予選最終ラウンド+準々決勝〜決勝、という流れでした。日本主催ということでやはり日本からの参加者が多かった印象ですが、全体の4分の1程度は海外(主にアジア圏)からの参加者でした。

国際大会とはいえ、日本の先輩方が運営してくださるJBPは国内大会に通ずる雰囲気が強く、変に萎縮したりせずに参加することができました。その一方で、やはり国際大会に来ているんだという自覚からくる緊張感もあり、強強ディベーターの方だけでなく、一年生の国際大会デビューにもぴったりの大会であるように感じました。今まで出てきた中でも一二を争うほどの本当に楽しい大会だったので、もし参加を迷いながらこのブログを読んでくれている未来の一年生がいたらぜひ参加をおすすめしたいです!

3. 大会まで

1) きっかけ
JBPは元々別チームの提供ジャッジとして参加する予定だったのですが、そのチームが参加を取りやめることになったため、ディベーターとして出場することを決めてペア探しに着手しました。同期には国際大会はまだちょっと、という子が多く、先輩方はお忙しかったり既にペアが決まっていらっしゃったりという状況に頭を抱えていた時、以前から組んでみたかった理紗にダメ元で声をかけてみたところ快諾してくれました。理紗は高校経験者で実績を出しまくっているすごい先輩である上に、今回ペアアップの声かけをするまではほとんど話したことがなかったため、あっさりとOKしてくれた時にはかなり驚くと同時に、本当に頭の下がる思いでした。
2) 練習
理紗が別の国際大会に参加する予定があったため、その大会が終わった後の11月中旬から練習を開始しました。二人ともJBPの前の週に開催されたWGMという大会にそれぞれ別の人と組んで出場することが決まっており、そのための練習と両立させることの難しさはありましたが、理紗が忙しいスケジュールの中にたくさん時間を見つけてくれたことで、最終的
にはプレパ練とスパー/ラウンド練を3回ずつ経て本番を迎えることができました。私は反論より立論が好きで最近はずっとファースト芸人をやっているのですが、理紗から好きなポジションでいいよと言ってもらえて今回も opening, closing ともにファーストを務めることになりました。このポジション決めの会話の際、理紗から I just want you to know that I see you as an equal partner とLINEがきて、文字通り身が引き締まって(引き締まりすぎて、?)鳥肌がたったのを覚えています笑。その言葉通り、理紗は練習から本番まで一貫して対等にプレパをしてくれて、リーズニングやメカニズムなども基本的に私に考えさせるようにしてくれました。こうしてかなり自由にやらせてもらえたことが、私がJBPで絶えず感じていた楽しさや達成感の大きな源だと思っています。理紗のそれとは圧倒的に質の劣るメカであろうと使わせてくれて、いつも私の話に真剣に耳を傾けてくれた理紗には感謝してもしきれません。
3) チーム名
由来をよく聞かれたので書いておこうと思います笑。理紗とのチーム名のheは、heという猫の動画からとりました。大の猫好きの理紗はいつも猫関連のチーム名で大会に参加しているのですが、私は残念ながらあまり猫と関わらずに生きてきてしまったので、どうしようかなと考えた結果思い出したのが大好きなheの動画でした(観たことのない方はぜひYouTubeでhe catと検索してみてください。とても可愛くて癒されます)。理紗にheの動画を送りつけてチーム名にheはどうかと聞いたら「おならみたいで草」「Let’s hear everyone mispronounce it」と言われ、heに決定しました。BAやCCでチーム名が呼ばれて運営の皆さんが「ひー」とおっしゃるたびに理紗が “It’s へ!!” と言っていて面白かったです。実際に正
しい発音がどちらなのかはわかりません笑

4. 大会1日目(R1〜R4)

同じくJBPに出場する淳(26期)・克幸(27期)ペアと一緒に、淳が教室を予約してくれていた日吉から参加しました。私は大会ではかなり緊張してしまうので、ラウンド間に四人でくだらない話ができる環境にかなり助けられました。日吉はちょうどキャンパス中の銀杏の葉が見頃になっていて、それにもとても癒されました。

R1: TH, as a young professional worker in East Asia, would prioritize career success over settling a mediocre career path that allows non-career pursuits. (CG, placed 2nd)

後半の設定には親しみがありましたが、今回のモーションはアクターが詳細に決められていて面白いなというのが最初に思ったことでした。プレパでは、成功するから嬉しいし趣味などに必要なお金をちゃんと稼げるというOGの主張と、ガバではそもそも成功しないし、しても仕事ばかりで趣味に使える時間がないというOOの主張のクラッシュになるだろうと予
想し、CGからは、成功するかどうかに関係なくpursuing career success自体がいいことであるというエクステンションを出そうということになりました。スピーチではpursuing career success 自体がもたらすベネフィットをいくつかあげた後、
アクターが東アジアの若者であることに着目し、生産性やキャリアの成功を重視する文化が根強い社会であるがために、career successを追求しなければsocial ostracizationに直面するという話をしました。理紗の反論やweighingのおかげでオポベンチには勝てたのですが、OGがフレーミングでpursuing career successの過程自体がfulfilling experienceであると言及していたこと、pursuing career successがもたらすベネフィットがアクターのインタレストに沿っていることの説明ができていなかったことなどからOGを抜くことはできず、2位に落ち着きました。初っ端から1位部屋に放り込まれることを回避したという利点はあったものの、練習の段階から苦戦していた(というかBPを始めてからずっと苦しんでいる)オープニングのケースを聴きつつ自分のケースを立てるマルチタスキングがやはりちゃんとできていなかったこと、そして基礎的なバーデンを落としたことで負けてしまったのはかなり悔しかったです。

R2 (CO, placed 3rd): TH supports the adoption of price setting AI by real estate companies.
Info: A price setting AI service in real estate approximates real estate prices based on a multitude of variables such as fluctuation of housing prices within the national economy, rate of construction of new real estate, employment and purchasing power within the national economy.

ガバがAI is faster and more accurateという話をしてくることを想定し、仮にその通りだったとしても、AIが価格設定に利用するデータの段階で不平等が存在し、不動産の価格がマイノリティコミュニティに不利なものになってしまう趣旨の話を立てることにしました。不動産系のモーションはJBP直前のスパーで出たhousingモーション以外に経験がなく少し不安
だったのですが、考えたバーデンを埋めるのには不動産特有の知識が必要というわけではあまりなく、比較的使い慣れたアナリシスを多く引っ張ることができて安心しました。しかしCGから、マイノリティにはpublic housingなどのオルタナが存在するため、実際にこのディベートで最も脆弱なアクターはmiddle classであると指摘され、最終的にこのオルタナがなぜ存在しないかのバーデンを埋められなかったこと、反対にOOからはなぜmiddle classにはオルタナが存在しないかを含めて立論がなされていたことなどからCGとOOに抜かれて3位となってしまいました。

R3 (OO, placed 2nd): TH regrets the political strategy of centre-left political parties forming governing coalitions with centre-right parties as opposed to collaboration with left-wing parties.

R2もそうだったのですが、モーションを読んですぐにガバオポの世界の差分が明確にイメージできなかった上、オープニング中もプレパができたR2とは違ってR3は自分がLOだったのでかなり焦りました。最終的には、centre-rightと手を組んだ方が政策がよりモデレートになるという論を立て、その結果として政治家が票を得やすいだけでなくbroader representationが可能となって国民一般のためにも良いという話をしました。しかし、ガバオポの差を頭では理解していても感覚としては掴みきれないままプレパを終えてしまったため、内容が整理しきれず、似たようなことをべらべらと喋り続けてしまいました。さらにスピーチ中、そのお部屋をお昼から予約していたらしい団体の方が入っていらしてめちゃくちゃ喋りかけられ(?)て本格的にパニックに、、、。ゴミスピーチを聴かせてしまったチェアの方が幾度となくお世話になっている関西の先輩だったことや、別団体の方々を待たせてしまった申し訳なさで、OAを待つ間は仲の良い先輩たちにLINEでぴえんぴえんしたり、克幸と淳の教室で萎えたりしていました。大会の時いつもやかましくてすみません。理紗はいつも通りすごかったけど立論終わってただろうから詰みだ、としぼみながらOAを聞いたらまさかのアッパー。そして後々わかりましたが一番スピークスが高かったのもこのラウンドでした。タブは三度見くらいしましたが理紗がバーデンを一緒に考えてくれたおかげで耐えていたんだと思います。ありがたや、、、(とここまで書いて気がついたんですが、これ前回のブログのR3と全く同じ流れですね笑。もう少しちゃんと自分のスピーチを客観視できるようになりたいものです汗)

R4 (Silent Round – CO, placed 1st): TH regrets the emphasis on miracles in religion. Info: In religion, a miracle is an extraordinary event that is believed to be the result of divine intervention, transcending natural laws and human understanding.

宗教モーションは個人的に好きなので、出てきて嬉しかったです。スピーチでは奇跡の概念がなぜ(特にextremeな環境にいる人たちに)ユニークに強い心理的救いを与えるのかという話に加え、どのアクターがどういったインセンティブでこの奇跡の強調をしているのかの分析と、CFでなぜ神からの恩恵を得るための行動を通した努力の必要性に重きが置かれる
か、なぜそれが悪いのかの説明に時間を割きました。他のチームがCFや誰がこのナラティブを作っているのかにあまり触れていなかったため、理紗がウィップでその点を特に強く押しながら比較をしてくれました。R3と比べてより整理された立論ができただけでなく、自分の立てた論と理紗の反論・比較が綺麗に噛み合ったと感じ、他のチームへの刺さり方もはっきりと見えたラウンドでした。サイレントラウンドで結果が分からないのはうずうずしましたが、本当に気持ちよくスピーチのできたラウンドで、心地良い疲労感とともに1日目を締めくくることができました。

5. 大会2日目(R5〜準決勝)

日曜日は日吉キャンパスが開いていないので、大会2日目は信濃町キャンパスから参加することにしました。駅で理紗と待ち合わせて、何かの幸運で25期で医学部の夏美さんにお会いできたりしないかなーなんてことを話したりしながら教室に向かいました。

R5 (OG, placed 3rd): In countries with a history of settler colonialism, THBT the indigenous communities should prioritise demanding economic reparation (e.g., redistribution and welfare provision), rather than political reparation (e.g., quotas in
the parliament and legal protection for land rights). Info: ‘Settler colonialism’ refers to a system of colonisation in which the primary goal was the establishment of a permanent settler society on indigenous lands. It is commonly observed that the colonisers (or the settler group) in these contexts continue to reside in the former colonies even after the end of formal colonial rule (e.g., the US, Australia, and South Africa).

オポはpolitical reparationを通してeconomic reparationを含めたあらゆるreparationを実現できるってめっちゃ言いやすいんじゃ、?と思ってしまい、economic reparationを選ぶべき理由を考えるのに苦戦しました。最終的にはpolitical reparationよりeconomic reparationの方がバックラッシュが少なく実現しやすい・廃止しにくいということ、よりtangibleで即効性があり、indigenous communityに属する全員に一律に恩恵をもたらすインパクトが実現できることを説明しました。しかしオポベンチからの反論やweighingが強く、両チームに抜かれてしまいました。オポからのweighingの一つがプレパの最初に思ったpolitical reparationの包括範囲の大きさで、多少なりとも予想がついていたのに対応した立論ができなかったのがかなり悔しかったです。このラウンドのチェアはいつも国際大会のタブでお見かけする韓国のオーソリの方で、OAがめちゃくちゃわかりやすくて感動しました。海外のレベルの高いディベーターやジャッジの方々とラウンドができるのも国際大会の魅力の一つだと改めて感じました。

Break Announcement

R5を終えてBAを待つ間、理紗とお昼を買いに行くため階段を降りていたら、白衣に聴診器をさげた夏美さん(めちゃくちゃかっこよかった、、!)にお会いし、信濃町はテスト期間中で入ってはいけなかったことを教えて頂きました。朝のフラグを華麗に回収できたところで理紗と急いで荷物をまとめ、三田キャンパスへと急ぎました。三田に移動したはいいものの、R5のアロケが出た時点でそれを元に理紗とR4の結果の予想を立てており、R5で3位をとってしまったことも考えてブレイクは厳しいかもしれないということになっていました。ブレイクできるならしたかったのは言うまでもないですが、正直大会前から自分の実力不足が散々足を引っ張るであろうことはわかっていた上、理紗と楽しくディベートをさせてもらえただけで満足していたので、落ちても悔いはないかなと思いながらBAを迎えました。仮にブレイクしてもギリギリ引っかかるくらいのつもりでいたので、二人とも9位で呼ばれた時にはあまりちゃんと画面を観ておらず、やや時差があってから理紗と歓声をあげてハイタッチしました笑。BAに載っていた点数からR4で1位を取れていたことがわかったことも相まって、本当に感動した瞬間でした。

(三田の教室は窓から見える銀杏がとても綺麗でした!)

QF (OO, Advanced): THBT the rise in marketization of social reproduction in the developed countries will do more harm than good.
Info: ‘Social reproduction' refers to labours related to reproduction and care (such as procreation, child/elderly care, and domestic work). In recent years, these processes have been increasingly outsourced to market forces (e.g., paid childcare services, surrogacy), especially in developed countries.

アウトラウンドということで、どんなえぐいモーションが出るんだろうと身構えていたのですが、案外親しみやすいモーションでほっとしました。OOからはwhy there is a riseの分析と、CFではmarketizationがなくsocial reproductionの機能が各家庭のキャパシティに依存することの説明、そしてオポの世界でなぜsocial reproductionがより安く、高い質で提供され
るのかの説明をしました。ずっと資本主義万歳アーギュメントを立てていてかなり楽しかったのですが、タイマネをミスってインパクトまできちんと落とし込めず、セカンドの理紗にかなり負担をかけてしまいました。好きなアーギュメントほど必要以上に喋ってしまってインパクトにたどり着けないことが私は本当によくあるので、気をつけなければと反省です。

 強いチームに囲まれていたので勝てているか不安でしたが、結果はオポベンチの勝ちで、1位でブレイクされてCOにいらっしゃったKDSの先輩方と一緒にSFに進出できることになってとても嬉しかったです。理紗は他のディベーターの方に「れいが資本主義者でよかった」とLINEしていました。え。

SF (CG, Eliminated): TH supports the continuation of Lina Khan's leadership in the FTC.
Info: The US Federal Trade Commission (FTC) is a government agency responsible for protecting consumers and promoting competition. Under FTC head Lina Khan, appointed to the position by the democrats, the FTC has become significantly less
friendly to the businesses it regulates. For example, launching anti-trust lawsuits against Amazon and Meta, and blocking significant mergers between large companies.

なんだこれーーーーーーーーーーーー泣
理紗がいなかったら詰んでました。econ自体不勉強&超絶苦手なのに、OGはQFでも当た
ったKDSの先輩方の激強チーム、、、、もはや焦ることすらできない謎メンタルでプレパ開始です。理紗からはまず a continuation of leadership leads to more market confidence and more investment into the US economy と吹き込まれました。理紗の口から流れるように出るUSマターとecon mechを必死で書き取り、JBP直前に偶然リサーチしていたFDIの基礎知識も放り込んで、なんとかアーギュメントのようなものができあがりました。しかし正直OGが強すぎてこれは出されそうということで、パキスタンにルーツを持つLina Khanがリーダーであり続けることで、特に近年の政策の傾向から米国に対して失望を強めている女性や移民に対して role model effectが起こる、という話もすることになりました。理紗にめちゃくちゃ頼ってしまった上、ラウンドのレベルが高すぎて自分の立論が十分だった自信は皆無でしたが、これが今の自分の精一杯だなと感じながらスピーチを終え、結果はどうであれ完全燃焼ではあるかなと思っていました。

このラウンドは兎にも角にもレベルが高く、聴いているだけで興奮するようなスピーチばかりでした。例えばCOには同志社と東大のジョイントチームの方がいらっしゃったのですが、お二人とも素晴らしいロジックに米国における実際の判例を次々に加えて説明されていて、法学部生のくせに日本の判例すらまともに把握できていない私は唖然として聴いていました。後日拝読したこのチームの方のブログによればeconのリサーチをされる中でLina Khanのことも調べていらっしゃったようで、改めてディベーターの先輩方の努力には敬服するばかりです、、、
最終的にこのラウンドでアッパーを取ることはできず、準決勝敗退という結果になりました。決勝まであと一歩のところで力が及ばなかったことへの悔しさはあったものの、まさかこんなに楽しみながら準決勝まで進ませてもらえるとは思っていなかったため、本当に満ち足りた気分でした。夏休みに初めて国際大会に出場した時にはNovice GFで負けてしまい、本当に悔しくてたまらず、「いつかオープンのアウトラウンドで勝ちたい」と強く思ったため、それが2ヶ月越しに叶えられたこともまた感無量でした。いずれは自力でこのような結果を残せるディベーターになりたいです。

6. おわりに

 一般に「競技」と称される数あるものの中でも、ディベートはかなり魅力が特殊だと思います。一番の魅力が何であるかは人によって違うと思いますが、個人的にディベート中に最も強く感じるのは(文字にすると仰々しく聞こえてしまうかもしれませんが)考えを伝える手段としての言語の可能性の大きさです。言い方ひとつで受け取られ方が変わり、誤解を生んで苦しむこともあれば分かり合えて嬉しいこともある、という言語の難しさは日常的に感じるものですが、その難しさで遊ぶ競技は稀だと思います。私はその難解さをほどいてスピーチの味方につけるには程遠いですが、素晴らしいスピーチを聞いた時に誰もが味わう恍惚感はここから来るんじゃないかな、と考えたりします。

 コミュニティの開放度も常々感じるディベートの魅力の一つです。どんなにディベートを始めて日が浅かろうと、大会に申し込みさえすれば国際的に活躍するディベーターと対戦する機会が与えられ、レベルの高いスピーチを聴くことができるのはもちろん、その結果として、何かに真剣に向き合うことの大切さに気付かされる瞬間があります。SFの振り返りで触れたCOの方が好例ですが、自分がこんなに強かったら何もせずに楽しみたくなっちゃうなーと思うような方ほど、目立たないところで絶えず努力を重ねていらっしゃり、スピーチを通してそれが垣間見えるたび、その強者たる所以に畏れ入ると同時に、ディベートに限らず、目標を持って行動を続けることの価値を痛感します。進路などの面で取るべき選択に悩み、足を止めてしまいがちな学生の間にこそ、そのような機会は貴重である気がします。

 大して需要もないのに長々しく語ってしまいましたが、お伝えしたいのは、私のとても限られたディベート経験の中でも国際大会は上に書いたようなディベートの魅力を特に強く実感できる場であると感じていて、これをもし未来の一年生が読んでくれていたら、ぜひ積極的に参加してほしいということです。レベルの高いラウンドほどボコボコにされますし、ゴミスピーチをかませば萎えますが、確信を持って言えるのは、大会では失うものよりも得るものの方が大きいということです。初心者の自分が国際大会なんて、と思ってしまう気持ちは一度無視して、仲のいい同期や憧れの先輩を誘ってみてください。絶対に応援してもらえる
はずです。

 末筆ながら、いつも気にかけてくださり、お忙しい中でもジャッジやスピ練にご協力くださるインステ内外の先輩方、仲良くしてくれる同期のみんな、そして特に今回ペアを組んでくれた理紗に、心からの感謝をお伝えしたいです。ネモフィラ杯についてのブログを書いていた四月の私は、年末には国際大会を振り返るためにブログに戻ってくることになろうとは夢にも思いませんでした。ひとえにまわりの方に支えていただいて実現したことです。いつも本当にありがとうございます、そしてどうぞこれからもよろしくお願いいたします、、!