オンライン・ネットで繋がる犬派の結束とディベート

みなさん、こんにちは!今回はLinkbate Debating Championshipという香港ベースのオンライン国際大会について22期のタクシにかいてもらいました⭐️ オンラインディベート大会についてのブログは今回が初めてになりますので、特に新入生の方などで「オンラインでディベート大会ってどんな感じなんだろう?」って思っている方はタクシの絶妙なセンスで面白、分かりやすく書いてくれているので、是非読んでください!


読まなくていいイントロ

こんにちは。KDS新二年生の小林です。まずは、このブログ書いているの誰だよ!って思われると思うので、KDS“22期”の小林の定義付け/求められていない自己紹介から始めたいと思います。(こうした方がきっと内容も入りやすいはず。)小林のこと完璧にわかっているよっていうマニアックな方は読み飛ばして下さい。2に読まなくていい本文A、3にオンライン大会の感想、4に謝辞を述べる予定です。

小林は高校生の頃は英語やディベート等からは全く無縁の生活をしていました。そもそも英語があまり好きではない元理系、英語のテストは(も)赤点、勉学よりも音楽だ!って思っていたよくいる量産型高校生で四六時中RHCPというバンドのコピーばかりしていました。今となっては驚きですが、4人しかいなかったそのバンドの2人はプロになるため、所謂普通の大学生を辞めてしまいました。昔変わっている奴らだなとは思いながら、優秀な人達と音楽やれて幸運でした。(ちなみにもう1人はボディビルダーになるそうで、小林の体重の倍以上をベンチプレスで挙げます。)

音楽に飽きてしまい、特にやりたいことがなく、新歓の最初の頃は色々なサークルや部活を転々と物見し、たまたま出会った真面目な国際系のサークルの先輩に「英語興味あるの?ならKDSがいいんじゃない!」と勧められました。その先輩は全くKDSに関わっていないのにも関わらず熱心に勧めてくれたため、どうせなら話だけでも聞きに行こうかなと思い、その頃は新歓やモデルディベートも終わっていましたが、恐る恐るKDSの先輩に連絡を取り、部室に行きました。今思えばその先輩に出会っていなかったら、このサークルに入ることも、KDSの名前を聞くこともなかったかも。

そこから一年、振り返ればことディベートにおいて自分の不甲斐なさを実感するだけの毎日でした。はじめの方の大会は殆ど負けていましたし、ルールも分からず、音源も聞いても何言ってるのかさっぱりだったので、全く上達せず秋まで過ごしていました。それでも毎日充実した日々を送れていたのは、力不足なのに受け入れてくれるKDSの同期であったり、自分の見ることができない視点でリフレクをくれたり、全力で戦ってくれる先輩やOBの方です。大変感謝感激です。

定義に時間使いすぎるのももったいないのでこの辺で。とりあえず、何が言いたいかっていうと、述者は未経験の英弱男ってことです。


Table of Contents

1. 読まなくていい本文A

2. Linkbate Debating Championshipについて

3. 大会の感想

4. 最後に謝辞など


1. 読まなくていい本文A

人が合理的であろうとする時、その動機は限りなく非合理なものらしい。日本を代表する社会科学者の小室直樹の言葉だと、何かのラジオか番組を通して知った。さすが色々な分野の専門家(宮台真司・橋本大三郎・大澤真幸etc.)から尊敬を得ている人だけはある、残した一言の重みが違う。私は単純なのでこういう二重性を持つ言葉が大好物で、他にはオスカーワイルドなど一冊も本を読んだことないけど、めちゃくちゃ尊敬している。 “be yourself, everyone else is already taken” Billie Eilishも同じような事を言ってたな、と思ったり。

そんな中で、合理的でありたいと願うディベーターは、ディベートを続けるべきなのかという問いに常に答え続けなければならない奇妙な存在である気がする。つまり「TH, as Takushi, Would still continue debating.」みたいな論題を日々考え続ける毎日なのだ。なぜなら、ディベートを続けることがベネフィシャルな選択であるとは限らないし、そもそもディベートは時間を食われる競技なのでベネフィットがあったとしても他の選択肢を殺してしまっているため、他の選択肢と比較した時本当にベターなのか怪しかったりするから。

先ほどのモーションを否定側から見るのはたやすい。今回のディベート大会で組んでくれたパートナー曰く「debate=slow suicide」だし、「環境が苦しいって言っているディベーターよくいる」って某先輩が言ってたし、自分自身メンタルハームを受けやすい競技だって知ってる。対して肯定側は、ディベート短期間で何か得られるものが有るわけでもないので、実用的な利益が見えにくい。モラハイ取れなさそうだし、Asianならこのモーションはvetoするべきかもしれない。“このクソみたいな社会で(←どこかで聞いたフレーズ)、楽しく生きていくことは何よりも重要なことです。(中略) みんな真面目すぎるのだ。飽きっぽく生きようよ。” (鈴木, 2016) ディベートをしないで他のことに時間を使った方が人生楽しめる可能も大いにあります。恋愛したりとか、バイトしまくるとか、

最近頭の悪い私はこの問題に悩まされ続けて、頭が痛くなって考えるのが面倒くさくなって、ダラダラディベートをやっていた。とりあえず自分を納得させるためロジックではなく、具体例だけ投げて自分を納得させた。「そもそも皆んな常に合理的であるなんてことはできないし、ディベート界出身の成功者って多いじゃん?(苫米地英人・瀧本哲史・ボリスジョンソン?笑 et cetera, et cetera)。」しかし、最近になってそろそろこのモーションをちゃんと考えないとと思って、考えてみた。そしたら予想外にも自分は結局肯定側サイドで、やっぱりディベートを続けてしまう結論が出てしまいました。それはもちろん合理的であり、非合理的なモチベからくる。

否定側のプラクティカルハームはなかなか削りきれない。負ければ辛いし、インステによってはジャッジのRFDがきつめだったり、同期がうますぎるから練習行くたびにメンブレする(笑)。私は色々なことが重なってメンブレし冬に3週間ほど練習をサボった。環境のせいか一般ピーポー(純ジャパ・未経験者 like me)は、負けを経験しすぎて面白さやルールもあまり理解していない段階で辞めてしまう(ことが多かったりする・かも・しれない)。ルールを理解するのには莫大な時間がかかる。ロジック無いっていうリフレクを冷静に受け止められるようになるのにも時間がかかる(まだできないかも)。

つまりディベートは楽しいってシュガーコートする人の話は、もしそれが経験者の言葉ならある程度注意して聞かないといけない。彼らの多くは、大会に出て負け続ける経験をしていないし、ある程度実績があるから揺るぎない自信があったりする。“みんな何と楽しいことを見つけては、それって、ほかにはそれ以上の楽しさやキラキラがないみたいな気分になる。中に閉じた状態では、本当に自分に刺激を与えてくれるのは今目の前にある輝きだけのような気がしてくる” (鈴木, 2016)ディベートにのめり込んでいる人は良くも悪くも盲目なのだ、多分。

対する肯定側ならどうだろうか。私は初めはめっちゃ辛かった(今も全然辛い)けど、ルールがわからないまま辞めるのが謎にプライドに触ったり、かっこいい先輩みたいになりたいなと思って、irrationalにも続けてしまった。まさに冒頭に述べた非合理な動機である。何とかして見返してやりたい、ラウンド練でもなんでもいいから勝ちたいって思うようになった。ディベートが楽しいとか、正直どうでもよかった。とりあえず、感情に任せて練習に向かった。時間がすごくかかったが、冬くらいでその頃から少し勝てるようになってきた。

これは私もバイアスがかかっているのを承知で書くが、ディベートはルールがわかってくると楽しくなってくる。もちろん辛い部分はある。メンブレもたまにする。たまにディベートしてる時怖いと言われてしまうので、この辛さに慣れてしまって他の人に同じように強く当たってしまうのは避けないとな。。。“「この種の陰惨な事件がわれわれにとっては、ほとんど恐ろしいものでなくなっているという、まさにその点にわれわれの恐怖の存するのであります(中略)われわれの社会の、知性と想像力のあまりにも早い消耗が、その原因なのでしょうか。」” (ドストエフスキ, 1978) とりあえず今はディベートを楽しみにゆる〜くやっていこうと思う。

ということで一応の自分の中でのディベートを続けることの決着がなんとなくついた。本来なら、趣味である登山に興じたり、池袋の紀伊国屋で好きな本を買って店内のカフェで1日を潰したいところですが、コロナのせいでなかなか外にも出られないし、家で構ってくれるものもパソコンと犬くらいなもので、インスタグラムを開いたケータイを隣に置きながら淡々とブログを書くことにしようと思う。

 

2. Linkbate Debating Championshipについて

実は”Linkbate Debating Championship”という香港ベースのオンラインで行われたBP国際大会に参加していた。アジア中心に様々な国や地域からディベーターが参加する中、KDSからはフィットボクシングが大好きなJayneと私が3カ月ぶりに組んだPro Boxersと、KDS Aというチーム名が参加した。

 

3.大会の感想

<予選>

Round1 OG 4位

This House Supports teaching students the narrative that social networking is crucial to one’s career success.

Jayneは3ヶ月くらいディベートから離れていた。一方僕はその間ずっとディベートをしてしまっていたため、かっこ悪いところは絶対に見せられない; つまりここは僕がリードして当たり前のように1位を取らなきゃって意気込んでいた。全てのディベートが終わり僕は1位を確信した。余裕すぎる、負けるわけがない。そしたら。。。(笑)

上手い先輩でも、レベルの高い大会に出ても、ジャッジの判断でショックを受けることはある。今回の大会では不幸にもround1にそれが来てしまった。我々はOGで、最善の対策をした。分からない単語は辞書で調べ、現状の分析とAPまで詰めて、スピーチも割といいのができた。そしたら、ジャッジに君たちはモーションの単語の意味を理解していない。ダメダメだねって批判された。ショックすぎる。自分が今まで学んできたことは全て嘘だったかのような気がしてしまった。自信の全てをなくした。カッコつけるつもりが、4位だし、チェアちょっと怖いし。もちろんKeio Aは初戦から1位を取ってくるし。ディベートなんて、。。。って心境荒れてた。

ところで尊敬するナンパ師曰く、やり手のナンパ師も最初の頃は全然成功しないし、失敗するたびに落ち込む。しかし大事なポイントはナンパをする際、失敗してもすぐに開き直ること!!F** Offと言われようが、気にしない。そういう人もいる。とりあえずラウンド1のジャッジは共鳴できなさそうだなって思い、省エネモードでRFDを聞いていた。ラウンド2は負けるわけにはいかない(恥を晒すわけにはいかない)。

Debateはナンパと違い、負けたら次のラウンドは少し勝ちやすくなります。落ち込んでいる暇なんてない。

 

Round2 OO 1位

This House Believes That it is in the interest of the Israeli government to abandon the Hannibal Directive.

Info slide: “The Hannibal Directive” was established in the 1980s and has been one of the Israel’s signature military doctrines. The directive is meant to stop Israel’s enemies from using captured soldiers as a bargaining chip (tool for negotiation).This directive calls for troops to open fire when their own soldiers are being captured even if it causes the death of their comrades. The Israeli government established this to prevent itself from being vulnerable against their opponents. This directive was however extremely controversial even within Israel.

地球への愛が強いピッコロ・悟空の名シーン、ラディッツに対する魔貫光殺砲とか、カカシ先生を想起させるモーションです(わからないですよね、ごめんなさい)。少年漫画はいざという時に優れた英知を授けてくれます。地球(国民)を守るためには、魔貫光殺砲(fire)をしないといけないんだよ多分。

 

Round3 CO1位

Assuming the Choice exists, This House, as a genius, Would choose to live with average intelligence instead.

Info slide: For the purposes of this debate, intelligence refers to a person’s IQ, but not any other things like EQ (able to understand own / others’ feelings and communicate well) or AQ (ability to deal with adversity).

“Life only really has one beginning and one end, and the rest is just a whole lot of middle. And I love you guys to let not make the most of it.” (Murphy, R. Falchuk, B., &Brennan, I., 2018) コロナのせいで最近ずっと家にいるので、一日中パソコンにへばりついている毎日を送っている。英語から離れたら全部忘れそうと思い、最近になって洋物のドラマ、Sex education, FRIENDS, SUITS, Skins などなどを見るようになった。上の引用はドラマGleeでのミスターシューの一言。ドラマは意外と役に立つかも。

 

Round4 CG1位

This House Believes That voters should always vote for policies and principles they firmly believe in, regardless of its political popularity.

前提として、政治家なんてやらせてみないと分からなくね?って思ってしまった。例えば、恋愛感情を抱いた他者が互いの相性の良し悪しが分かり始めるのは、大体1年くらい経って何か大きな喧嘩とか困難があった時じゃない?(知らんけど)最初はいい顔するだろうし、少しの遠慮みたいなものもあったりして毎日がドキドキワクワク〜してる。でも少し経ったらお互いのことよくわかってきた頃合いに、遠慮とかなくなってだんだん裸になっていくのではないでしょうか(比喩的な意味です)。政治家だって、正直途中まではいいこと言う。でも危機の時とかちゃんとしてくれないとかなり困るし、何よりマニュフェスト守るかどうかも、時間が経たないとわからない(コロナの緊急事態に支持率が下がってしまう稀有な政治家とか)。

正直自分はこのモーションが全くわからなかった。でも、よくわからないけど多分人気のある政治家の方が、実行力があるのだろう(比較的に)。そしてこれはマイノリティの話なのであろう。マイノリティが自分の意見をrepresentしてくれている政党に入れれば、majorityの政党がその意見を汲み上げるincentiveが湧くかもって思ってそれを言った。知識が全くないので自分が知りもしない架空の抽象空間を思い描いてそれっぽいスピーチをしてしまった。反省。

 

Round5 CG2位

This House, as South Korea, Would develop nuclear weapons.

ネットフリックスの「愛の不時着(Crash Landing on You)」(Jeong-hyo, L., & Ji-eun, P., 2019)っていうドラマ面白いのでおすすめです。共産主義批判みたいな映画は “Invasion of the Body Snatchers(1956)”みたいな50年代のアメリカ映画で見ることができますが、韓国から見た北朝鮮像みたいなものを見ることができますきっと。韓国ドラマなにも見たことない人にもめっちゃおすすめ。

<ブレイクチーム発表>

Round5が終わって、ブレイクナイトならぬブレイクヌーン。お昼時にACのパソコンを中継して行いました。ちなみに、この時点ではround4とround5の結果はわかっていません。

1位から発表されて、まずKeio A(すごーい), そして2位にインドの学校と呼ばれる中、3位にまさかの。。。オーガナイザーがアナウンスする前に少しスライドをズラしたその時、Pro Boxersの文字が。。。この画面を見た瞬間、ちゃんと飛び跳ねて喜びました。最下位スタートからの、ミラクルですね。

 

<本戦のモーション>

Pre-Quarterfinals 見学

This House Prefers a relationship that is full of ‘drama’ and obstacles, as opposed to one that is stable and long-term.

ブレイク順位が高かったのでpre-quartersは免除でしたので、何も喋ってないですが、個人的に今大会で一番好きなモーションです。うまい人と練習する機会があったら、このモーション出してなんていうのか聞いてみたい感はあります。

Full of dramaでもlong-termな関係ってなくもないし、個人的に刺激的な恋愛大好きなんですけど、Gov.サイドだと何を言えばいいのだろう〜??完全に好みの問題になりそう。

ちなみに僕はブレイクが決まった瞬間鍋の材料を買いに行って、この時間なべをつつき、某Keio Aの堀口は豪華な寿司をツイッターに載せてフードポルノしてました。普段の大会はコンビニ飯になりがちですが、オンライン大会は何と言ってもリラックスしながら大会に挑めることですね。小林は寝っ転がってスピーチしてました。

Quarterfinals OG 敗退

This House Regretst the concept that God exists.

リラックスしてのびのびdebateしていたら、Keio Aと一緒に始まってすぐに敗退しました。某堀口がTwitterで「本戦即死するかも」ってフラグを立ててしまったのが、この結果に繋がると思うと大変悲しくなります。SNSでは嘘でも前向きにいきましょう!というのが今大会のtakeawayですね。

 

最後に謝辞など

パートナーのジェイン

7th best speakerすごい。冬T以来全くディベートしてなかったのに、圧倒的な地頭と卓越した言語能力でサポートしてくれて感謝。いつか僕も中国語が話せるようになって、プレパも中国語でできるように頑張ります。

Keio Aのみなさま

天才。尊敬。予選一位通過おめ。ベストスピーカーおめ。

KDSおよびUTDSの皆さん

普段練習に受け入れてくれて感謝感謝です。UTDSに関してはもしかしたら部員並みに練習に行ってしまっているので、請求いただければ部費とか全然払う所存でございます。その際はラインください。

 

引用

鈴木涼美. (2016). 身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論. 幻冬舎.

ドストエフスキー. (1978). カラマーゾフの兄弟(上)(新潮文庫) (原卓也, Trans.). 新潮社.

Jeong-hyo, L., & Ji-eun, P. (2019, December 14). Crash Landing on You. Retrieved from https://www.netflix.com/Title/81159258

Murphy, R. Falchuk, B., &Brennan, I.(2018, December 1). Glee. https://www.netflix.com/title/70143843

Netflix. (n.d.). Retrieved 27 April 2020, from https://www.netflix.com/title/81159258


Results of Linkbate Debating Championships 2020

Quarter Finalists :

Pro Boxers (Takushi Kobayashi, Jieyin Yu)

Keio A (Owen Park, Yohei Horiguchi)

Best Speakers :

1st : Owen Park

2nd : Yohei Horiguchi

3rd : Takushi Kobayashi

7th : Jieyin Yu


タクシ、ありがとうございました🙇‍♂️