初めてのワールズ

みなさん、こんにちは!今回は21期の小澤さんにWUDC 2020についてのブログを執筆していただきました✨ 様々な視点からWUDCについて説明していただいているので、WUDCについて興味のある方は一読必須です!

それではどうぞ〜👇👇👇


21期新3年生の小澤俊哉です。先日、行われたWUDC 2020などについて書かせていただきます。ブログの寄稿も早くも5回目です。


Table of Contents

1. 出場経緯
2. WUDCなどの感想
3. ディベートを始めて2年の感想
4. 謝辞


1. 出場経緯

WUDC(World University Debate Championships、通称ワールズ)は毎年開催されている即興英語ディベートの世界大会です。
今大会は同期のましゅうと組みました。ワールズで組むのを決めたのがいつかは明確には覚えていないですが、多分4月ごろにお互いワールズ出てみたいねっていう話をしていて、夏頃に出ることが決まりました。
ましゅうと組むことになったのはよく考えると感慨深いです。新歓の時期に人生二度目のディベートの試合で組んだのが、実はましゅうでした。当時、初心者で始めたぼくにとっては、天の上の存在で追いつけないような気がしました。この時、大学に知り合いがほぼほぼいないという新しい環境のせいで鬱気味で、まじめにディベート無理かもと思いました(笑)
その後、なぜか1年生の2月まで10ヶ月間ずっと練習でも組まず、その間色々あって、ディベすすで初めて一緒に出ることになりました。何だかんだそれ以降は9個も一緒に大会に出ました(ディベすす、春T、プレジェミニ、ジェミニ、秋T、NEAO、JBP、Tokyo Mini、WUDC)。ディベすすでは7点差もつき、足引っ張っている感じでしたが、ジェミニの頃までには少しずつ近づいた感覚はありました。しかし、ABPなどを経て成長していたましゅうの後ろで、正直、何をするのがベストなのか、よくわからない時期もありました。JBP以降にやっと少しずつなんとなくわかってきたような気がしたという感じです。チームワークや自分のチーム内での役割分担、二人の違いを掴むのは大事だと思うので、注意するといいです。
性格はかなり違うけれど(笑)、ディベートの相性自体は個人的にはよかったです。思いつくマターや分析はすぐ伝わることが多いです。一方で、得意なことやディベートのアプローチの仕方で多少違う部分もあると補完し合えて、いい感じだと思います。
最終的にWUDC1日目にしてやっと自分の中で確立し始めたのは、勝ち筋を整理して、ましゅうが出してくれたロジックやストーリーにリサーチで得た具体例/ケーススタディや緻密な説明を加えるという戦い方がしっくり来ました。

2. 感想

・結果
結果としてはチームとしては13点、スピーカー1388点、個人としては694点で、最後のラウンドでESLバブルラウンドで勝てず、ブレイク落ち、決勝ラウンドに進めませんでした。初めてのワールズで、始めて2年だと考えると、結果自体はとても悪くはわけではないけれど、目標を達成できず、とても悔しいです。通用した部分もあったけれど、実力不足を感じた部分が多くありました。今回のWUDCはとても大事な通過点になっと思います。以下にワールズでの経験を中心に雑感を綴っていきたいと思います。

・海外大会
海外大会には1年生の頃からかなり積極的に出ています(夏ADI2018、NEAO 2018、BDO 2019、ICUT 2019、TDO 2019、ABP 2019、NEAO 2019、SMU BP IV 2019、WUDC 2020)。なぜこんなに出ているのかというと、理由はいろいろありますが、ディベートの視点を広げたい、新しいディベーターと当たって刺激を受けたい、自分が海外でどれくらい通用するか挑戦したいなどがあります。正直、思うような結果を残せたのはTDOぐらいでしたが、負けた大会も成長の糧になっていると思います。
大人しめな性格なぼくでも、たくさん出ているうちに友達や知り合いも増えました。今回もABPで知り合ったMalaysia Monashの友達や直近のSMU BP IVで知り合ったNTU(現地のチームメイトのインステ)の友達、その他にも北東アジアの方の大会で知り合った友達、ADIなどでお世話になったレクチャラーなどとは大会中に会うたびに話していました。今回、特に嬉しかったのは、TDOのトップラウンドをチェアした時に褒めてくれたマレーシアのMaxxが、7ヶ月ぶりなのに、名前を覚えてくれていて、声かけてくれたことです。ジャッジしてもらった時などによくしてもらえるという意味でコネクションは大事だと思いますし、友達の多い方が単純に大会が楽しくて、大会中のメンタル面でも大きな支えになりました。これからも色々な出会いがあればいいなぁと思います。
海外大会では、もちろん観光や食事を通して現地の文化に触れることもできます。個人的にはICUの先輩と一緒に行ったワットパークナムがとても綺麗で、今回の中で一番印象的でした。

・ジャッジ
基準が違うため、想定外のランキングをもらうことはありました。ディベート観やバイアスという無意識に内在化しているものです。自分がジャッジしている時も無意識に何かしらのバイアスが生じていて、それを意識する必要がある時もあります。
バーデンやバーテン、モーションの捉え方の違い、リベラルバイアスや言語バイアス、印象などのバイアスによるものであるような気がします。
上記のような違いをどうやって乗り越えるかを考えていくのが必要だと思いました。実際に出てみないと気づけないことも多いので、ワールズなどのメジャー大会は複数回出て体験するのが大事だと思われます。自分のスピーチは特に色々問題があるとは気づいているので、マイナスに評価されないようにいいスピーチを追求していきたいです。どう自分と価値観違う人にも納得させるスピーチをできるか、誰にでも上手い、勝っていると思わせるスピーチができるかが今後の課題の一つです。

・分析
日本だと当たり前になっている分析やクッキーカッターのため、しっかり説明しなくても伝わりやすい時がありますが、すべての国でそれらがスタンダードとは限らないです。また出回っているクッキーカッターも実は内容が薄いものがあったり、すごい一般的なものだったりするので、しっかり本質的な理由を考えたり、モーションに合わせたり、丁寧に説明したりするのが必要です。またよく見られるケースの立て方の形式にとらわれすぎずに、モーションに合わせて柔軟に自分なりのケースの立て方を見つけていくことが大事だと思いました。
他にもたくさんありますが、基礎は大事にしつつ、常に常識に疑問を持ち続けて新しいディベートを追求していくのが必要だと思いました。

・文脈
文脈をしっかり伝えることも大事だと思いました。どういう風に議論を取ってほしいのか、どういう勝ち筋で勝負しているのかを明示的に整理して伝えるのが大事だと思います。ジャッジ任せにするのではなく、自分でしっかり位置付けないとクロースの時に勝てなかったり、点数も伸びなかったりします。ストラクチャーというのは単純にナンバリングで整理されているかだけでなくて、全体の論理的な流れやわかりやすい順番、自然なストーリーなどなど色々あって、見せ方に対する意識が甘かったなぁと今回感じました。

・説得すること
理解させるの次の段階にどのように説得するかという問題があると思います。違うバックグランドや体験を積んできた、価値観の違うジャッジをどう説得するか、評価を少しでもよくするかがとても難しいですよね。イラスト、レトリック、わかりやすく話したり、場の雰囲気を作ったり、気持ちを込めたりするマナーなど色々な方法があると思います。
今回、ぼくは結局イラストやマナーはそこまでレベルが上がってないなぁと思ったので、12月中旬に入ってからは、下手に新しいことをせずに、自分が比較的できるところを中心に勝負することにしました。メカニズムでは説明にケースや具体例を組み込みながら、直感的なロジックで説明すること、相手の話をうまく論点に収束しながら自分の話とぶつけることなど。できてない時も多かったですが、できた時は他のジャッジも取ってくれました。
ジャッジに「本当にそうだなぁ」って思わせるためには自分は何ができるか吟味するのは大事だと思います。
今は次まで時間あるので、イラストなど苦手な部分も含めて良くするために地道に色々やっています。殻を破るために新しいことに取り組むこと、または地道なことを継続していきたいです。人を説得する/感動させるためにはどうすればいいか日々考えていきたいです。

・即興力
原稿は書ける時はいいのですが、実際書く時間本当にないです。特にOGの時は単純に時間ないです。ワールズは部屋数も多いこともあって、部屋が遠い場合がよくあるので、実質8-10分プレパです。また火力のあるスピーカーと当たることも増えます。
個人的には時間があればあるほどアイディアを言語化できてうまくいく傾向が以前からあり、また直前のスピーカーへの対応する即興力が足りないと感じていました。
実際、スピーカースコアがとても極端な事になってしまい、相手の話を聞いてから時間があるOPP(DLO/OW)の時は79、78 、79、79、79で、一方で即興力がより必要になるGOV(DPM/GW)の時は77、77、72、74でした…今はひとまず表現の幅を増やしつつ、徐々にメモを減らしていくが必要があると感じています。またスピ練を繰り返してメモが少なくてもいいスピーチができるようになる必要があると思いました。また試合の展開を読む力も必要だと思うので、改善していきたいです。

・リサーチ
ぼくは結構日頃からリサーチしています。どちらかというと、ディベートのこの大会のために計画的にリサーチするという感じより、日々、面白そうなのを調べている感じです。学んでみたいと思ったことをリストアップしておいて暇な時にその時の気分で色々な記事を読んだり、アプリやSNSで出てくる記事もヘッドラインを見て面白そうなのを読んだり、気になるトピックの動画を見たりしています。
あとぼくは中身を絶対忘れるので、忘れたくないことはメモをして、マターファイルを使っていました。リサーチする際は、色々考察しながら、読んだり、見たりして何か思いついた時はその場で自分の解釈を書くといいです。どういう意見や見方があるのだろう、このFactはどういうImplicationがあるのだろうなど色々考えながらの方が面白いと思います。あとだれかが試合で言ってて面白そうと思った話も自分で解釈し直してメモをしておきました。あと過去のメモを読んで考察書き加えるのも結構面白いです。解釈はその時によって変わるので、全然違う解釈が生まれることもあります。本当は、単純に忘れないために定期的にやったほうがいいのかもしれません。
ちなみにぼくの場合、ほぼ全部英語で全ての過程やっていました。英訳する必要がなくて効率がよく、英語の勉強にもなり、記事の数やバリエーション多いので、英語でリサーチしています。
それを一年の夏から始めていたらいつのまにかファイル8冊分くらいになって本番は重くて大変でした(笑)今回は使った回数が多めで、79を取った4つのラウンドは使える内容がマターファイルにあったので、それを読んでアイディアを得ていました。Factや当時の解釈を見て、プレパ中に抽象化したり、解釈し直したり、Argumentに組み込んだりしていました。現実に基づいたケース/分析は個人的に好きです。うまくやれば、説得力のある話になると思います。今回もいい例があった時はジャッジの受けが結構良かった印象です。
ディベートのためと思っていると正直、リサーチしたことが使える可能性が低すぎて結構つまらなくなっちゃうので、興味本位で自分が好きなトピックから色々見るのから始めるといいと思います。あと歴史や背景とかも読むと面白いです。ディベートの枠組みにとらわれずに楽しむのも大事だと思います。

・メンタル
ディベートは他の競技同様、メンタルがかなりパフォーマンスに影響を及ぼします。しかもワールズは予選が9試合も続きます。本当に切り替えが大事です。
本当に納得できなかった時の対処法ですが、人によりますが、どのように気持ち落ち着かせるか自分なりに確立しておくことが大事だと思います。ぼくの場合は、まずジャッジのフィードバックは丁寧に書き出します。イラジャだと思いたくなるのは人間ですし、どうしようもないので、素直にその気持ちは持ちつつ、冷静になって自分の問題も振り返れるし、切り替えられます。あとAC的にも役立ちます。今回は全部読んでいたそうです。
今回、個人的には切り替えは結構うまくできたと思います。2日目6R終わった時点で7点しかありませんでした。つまり、3日目で全部1位とるくらいじゃないと決勝ラウンド進出にチャンスはない状況でした。しかも3日目はサイレントラウンドで結果がその場で発表されないのですが、R7、8は連続で1位取ることができました。そこは今までと比べると少し成長した部分だと思います。ただ残念ながら、R9のバブルラウンドでは勝てませんでした。僕らの二人が組むとよくプルアップされるのですが、今回も最後のラウンドで今大会2回目のプルアップという場面で対応し切れなかったです。あとから振り返ると、もうちょっと落ち着いていればもう少し粘ることができたと思います。大事な局面で強いディベーターになりたいと思います。

3. ディベートを始めて2年の感想
・自分にとってのディベート
ぼくは大学に入ってから即興英語ディベートを始めました。始めてから早いようで、遅いようで2年経ちました。高校経験者の壁、ベテランの壁、言語の壁、アジアの壁、世界の壁などの壁はやはりあります。中には今でも超えきれていない壁もありますが、多くの方々のサポート、非常に恵まれた環境の中でぼくはディベートができていると感じ、とても感謝の気持ちでいっぱいです。チャレンジャーとしてこれらの壁に挑戦していきたいです。
なぜ今まで続けていたのかを考えると、ディベートが純粋に楽しいからだと思います。今回のワールズのように、目指した結果は残せなかった時もあるけれど、その過程自体を楽しめたし、少しずつ自分の目指していることが形になっていると思います。ぼくは本当にディベートが好きだと強く思います。自分は大学になってから即興ディベートを始めましたが、始めて良かったなぁと思います。この気持ちはずっと大切にしたいです。
今まで自分が全く興味がない、あるいは知りもしなかった分野に触れ、世の中について日ごろから考えるようになったり、多様な価値観に耳を傾けるようになったり、色々なことを学ぶきっかけになったり、人に伝える楽しさを知れたり、自分の周りの常識を疑問に思ったり、ディベートを通して自分の世界観が変わったと思います。
また試合で自分の中でいいスピーチができた時もとても達成感があります。強い相手とぶつかり合う中で、その時点での自分の集大成的なスピーチができた時は嬉しい瞬間の一つです。
そして、支えてくださる方々の存在が大きいです。今大会も含めて多くの大会に臨む過程において多くの方々との出会いがあったからこそ、成長でき、楽しく、充実した時間を過ごせたと思います。KDSの先輩方、後輩、同期、他大学の方々、社会人の先輩方、また海外のディベーターとの出会いは自分にとってかけがえのないものになっています。一緒にディベートしたり、練習したり、試合で真剣にぶつかったり、大会の運営に関わったり、ご飯に行ったり、遊びや旅行に行ったり、どれもかけがえのない時間です。本当にこのコミュニティに入ってよかったなぁって思います。

・これからの目標
ゼミや就活、アイスホッケーの忙しさを考えると、今までと比べて、大会にはあまり出れないですが、以下のような目標を持って日々過ごしていきたいです。
(1)現実世界に基づき、勝ち筋が見えるスピーチをどの論題でもすること
(2)聞いている人にわかりやすい、「伝わる」スピーチをすること
(3)人の記憶に残るような自分らしいスピーチスタイルを確立すること
(4)ワールズでブレイクすること
(5)楽しくディベートをし続けること
また今年も韓国ワールズに出る予定があるので、そこを目標に今までやってきたことを継続しつつ、新しいことにも色々と挑戦していきたいです。

 

4.謝辞

最後になりますが、練習や大会で熱心に教えてくださる先輩方、切磋琢磨/仲良くしてくれる同期のみんな、いつも刺激をくれる後輩のみんな、応援をしてくださった多くの方々、大会運営の方々、諸大会に参加する上で動いてくださった執行部の方々、そして2019年多くの大会を組んでくれたましゅう、本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いします。


小澤さん、ありがとうございました!