2024ブログリレー#3

皆さんこんにちは!ついにブログリレーも折り返しの第3回まで到達しました!今回は24期の飯田龍喜さんに執筆していただきました。ぜひご覧ください!


はじめまして!KDS24期の飯田龍喜と申します。1年生の秋から本格的にKDSで活動していて、2024年4月から4年生になります。

何はともあれ、新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます!

今回は、いわゆる純ジャパ高校未経験と大学ディベートというテーマで書こうと思います。主に新入生の方を対象に、大学ディベートを行うに当たってぶつかるであろう壁とその乗り越え方を予めご紹介しておこうと思います。

僕自身、高校までディベートという競技に触れたことがなく、留学経験なしの両親が日本人というバックグラウンドです。このブログを読んで、大学英語ディベートを継続してくれる、同じ境遇の人が増えてくれればと考え書いています。

ディベートでよく使われる用語については、逐一注釈を挟んで、自然に覚えられるようにしようと思います!最後まで読んで頂けると幸いです!

(ちなみに、純ジャパという言葉は若干差別的なニュアンスが感じとられる場合があるので、英語即興ディベートコミュニティではEnglish as a Foreign Language:EFLという言い方をします。英語圏への滞在経験が1年未満で、幼少期に家庭や学校で英語を主とする教育を受けていない場合が一般的にEFLスピーカーと言われます。本稿では、新入生への分かりやすさ重視のため純ジャパという表現を使っています。)


 

 Table of Contents

 

1. ディベートのルールと魅力

2.純ジャパ&高校未経験の辛さと乗り越え方


 

1.ディベートのルールと魅力

辛いところとその乗り越え方を発表する前に、まずはそもそも競技のルールや楽しさを分かっていないと読む気が失せると思います。なので、ここではその2つについて軽〜く説明したいと思います。

 

英語即興ディベートの基本的なルール

「ディベート」とは、1つのある論題に対して、肯定・否定に分かれて交互にスピーチをし、その説得力をはかる競技です。試合中、交互にスピーチをする人をDebaterと言い、審査をする人をJudgeと言います。また、肯定側サイドのことをGovernment(Gov・ガバ)と、否定側サイドのことをOpposition(Opp・オポ)と言います。スピーチの時間は7or4分間です。

「英語」ディベートとはスピーチがすべて英語で行われることを指しているんだろうなと想像がつくと思います。では、「即興」とはどういう意味でしょうか?

実はディベートには「即興型」と「準備型」の2つのタイプがあって、「準備型」では論題に対してPreparation Time(準備時間・プレパ)を長くとり、主張の論拠となる論文や具体的な事例を調査します。一方、KDSで行う「即興型」では、プレパは15〜30分程度しかなく、論文や記事の検索は禁止です。

エビデンスを強く示せない即興型ではガバ・オポともに所謂「議論のわかれる事柄」をスタンスをとって言い切り、主張を完成させないと行けません。その際に、ジャッジは論理的な整合性や、論題が関係する場面の描写の完成度など様々な点で両チームの主張を精査し、勝敗を下します。

他にも細かいルールはたくさんありますが、超・基礎編としては以上です。15〜30分の間に肯定or否定のスピーチを考えて、順番が来たら喋る!とさえ覚えておけばあとはやりながら少しずつルールを学んで行けばOKです。

 

ディベートコミュニティ及びKDSにしかない魅力

大学での英語即興ディベートコミュニティで得られる楽しい経験を数えていけばきりがありません。ここでは、個人的に他のサークル・団体と違うだろうと考える、大学英語即興ディベートの魅力を1つだけお伝えしようと思います。

それは、「柔軟に強い繋がりを構築できる」という点です。ディベートの大会は国内外の様々な大学が主催しています。感染症の脅威がほぼ消えた現在、都内に限らず、名古屋・関西・九州など様々な場所へKDSとして遠征する機会が豊富にあります。また、ディベートという競技の性質上、2〜3人でペアを組んで大会に向けて短期的にペアと練習をする機会が必然的に生まれます。論題を共通の話題にできますし、試合中にはペアとのコミュニケーションが絶対生まれます。その上、試合後には遠征先などでディベート以外の遊びを楽しめます。

 

高校まではクラスメイトや、部活の知り合いなどが友達になると思いますが、大学ではそのような強い繋がりを保つことは難しいです。英語即興ディベートでは、競技に関わる中で自然とその繋がりを構築できるという点で、非常にオススメです。他の文科系のサークルだと活動にメリハリがつきにくいですし、スポーツ系のサークルでも、大会とそれに伴うチーミングがディベートほど高頻度で発生しないと思います。

 

ただ、「強い」繋がりだけが目当てなら、同じく遠征やチーミングがあるサッカーやテニスなどの體育會(=体育会)でもいいかもしれません。その繋がりを「柔軟に」持てるのが英語即興ディベートの良さなんです。

 

上に記した先輩・後輩・同期との交流の機会はすべて、強制的なものではありません。誰とチームを組んで、どの遠征先の民泊に滞在するかは自由です。また、そもそも海外大学主催を含めれば文字通り毎週ディベートの大会はありますが、どれに出場するかも自由です。(補足:1年生は1年生用の初心者大会があり、執行部がチーミングを助けてくれます。)体育会では練習も試合もチーミングも強制だと思いますが、ディベートコミュニティには、心地の良い環境を自分で構築できる柔軟さがあります。

 

競技自体は勝ち負けがはっきり審査員に示され、負けたら悔しくて辛いです。しかし、コミュニティにいる人自体や、そのシステムがストレスフリーな人間関係構築に寄与しています。大学で何に打ち込もうか、迷っているそこのあなた!英語即興ディベートが良いですよ!

2.いわゆる純ジャパ&高校未経験の辛さと乗り越え方

まず初めに、「乗り越え方」と言いますが、僕自身完全に乗り越えて完全ストレスフリーになっているわけではありません。ここでは、ここが辛いよ~っていうところを最初に提示し、技術的な乗り越え方だけでなく心理的な乗り越え方もご紹介したいと思います。

 

新入生がディベートをやってみてまず感じることは、スピーチがぜんぜん続かなくて辛い、相手が何言っているか意味不明っていうものだと思います。僕が1年生のころは対面での新歓活動がなく、春にMixideaというWebサイトやZOOMでプレパとスピーチの練習をしていました。ただ、何度やっても1分も喋れないし、そもそも口から英語が出てこないしで落ち込みました。そこからガッツリ挫折し、1年の春はぜんぜんディベートの活動には参加していませんでした。また当時は、「英語力がないからスピーチ中に喋れないんだ」という思い込みが強く、DMM英会話やCamblyという日常会話レッスンのサービスに登録し英語力を伸ばしてから、ディベートに取り組んでみようと考えていました。

 

ここで失敗していたのが、スピーチができない要因の、「そもそも言うべき内容が日本語でもあんまり定まっていない」というところを見落としていたことです。実はディベートでは、即興型と言えど毎回ゼロからスピーチの内容を考えているわけではありません。大抵の場合、今までやってきた論題で話した内容や、そこから得た知識を組み合わせて喋る内容を作り上げています。

 

例として、 This house would nationalize pharmaceutical industry. (i.e. the research, development, and distribution of pharmaceuticals)(=本院は製薬産業を国有化する。例:医薬品の研究や開発及び流通)という、1年生大会の中で最もレベルが高い梅子杯で出された論題を見てみます。初見では、製薬産業を政府が国有化することによって起こる具体的な事象や、そのメリットを考えてスピーチに落とし込むのは難しいと思います。しかし、梅子杯にでるような1年生は、THW legalize the usage of all recreational drugs(=本院は娯楽ドラッグの使用を合法化する)や、THW legalize organ transplant for profit(=本院は営利目的の臓器提供を合法化する)などの論題を既に練習しています。その結果、「政府が管理することで何が良いのか?」という点については、思考のプロセスをスキップすることができ、製薬産業固有の分析を考えることに集中できます。

 

高校未経験の最初のうちは、このような「あーこのタイプの論題ならこういうこと言えるかな」という感覚が全くないため、プレパ時間の効率は経験者と比べて必ず落ちますし、英語の原稿を準備する時間も無くなっていきます。なので練習後に、「こんな出来ないなんてバカなのかな…」とか落ち込まず、初見の論題で言うべき内容や、先輩や経験者の同期が言っていた内容を吸収していけば大丈夫です。

 

次に、英語のスピーキング能力やリスニングについては、残念ながら地道に頑張っていくしかないです。戦略的・効率的に伸ばしたい!という方は、ディベート自由帳という有名なブログのページが非常に参考になるのでご参照ください。

https://debatejiyucho.blogspot.com/2018/01/akdebate5.html

 

ここでは個人的に意識している簡単なポイントについて、2つだけご紹介していきます。

 

1つめに、「フィラーを減らそう!」というものです。フィラーとは、いわゆる文章が口から出てこないときにつなぎ言葉のことで、日本語で言うと、「あのー」「えーっと」「うーん」みたいな言葉のことです。英語ではWellやYou knowがこれに当たるそうですが、僕は今でも日本語の「えー」とか「あー」に近い音をスピーチ中に出してしまいがちです。1年生の終わりごろから、練習を重ねて、論題から知識をつけていくにつれて、言いたいことが増えて早口になるものの、英語が口から出てこずにフィラーが増えていきました。

 

聞き手からすると、ノイズとなる言葉が多すぎて内容が頭に入ってこなくなるため、「早口でフィラーが増えるくらいならゆっくり確実に伝えよう」という意識を持ったほうがいいです。2年生の頃などは特に僕自身いろいろな人から注意されました。早口だとカッコイイんだけどね…

 

2つめに、「表現が出てこなかったら、言い換えして頑張って伝えよう」というものです。イイタイコトを表現する英語が出てこなかったときには、まず伝えたい日本語を組み替えてから英語にするといいです。例えば、戦争関連の論題で、「人質」を意味するhostageという単語が出てこなかったら、日本語を「テロリストに捕まっている人」と変えてから訳せば、people held by terroristsのような表現が出てくると思います。

もちろん一言でバシッと言わない分、これを繰り返すとどんどんスピーチが冗長になってしまうデメリットがありますが、何も言えないよりはマシです!最初のうちはどんどん日本語の組み替えをしてみましょう。

最後に、ここまで読んで頂きありがとうございました!ディベートを続けるにあたって辛いこともあるかもしれませんが、最初に書いた通りコミュニティとしての良さは保証できます!エンジョイ勢に徹するのもガチ勢を目指すのもどちらでも大丈夫ですので、ぜひ大学時代に英語即興ディベートを続けて貰えると嬉しいです。