ディベートのすすめ 高校生ver.

今回は、可愛いのにスピーチはとっても上手な高校生ディベーターとーたがでぃべすすのブログを書いてくれました!!冒頭の文章からすごく惹きつけられるものがありますね笑


 

私はその景色を一度見たことがある。

それはうすら寒い、晩冬の薄暮だった。新奇なものを求める好奇心に屈服した私は、数日先に迫る期末テストの焦燥感を無理やり抑えつけ、導かれるままに見知らぬ地に降りた。辿り着いた先は雑踏を極める315。熱気の漂う雰囲気、雑然と並ぶ机、スクリーンに映し出された文字列。一瞬静まり返ると刹那、一斉に沸き起こった拍手に迎えられ、論戦の幕が切って落とされる。何を説いているのかは不明だが、不思議な引力に恍惚としているうちに、一際大きい喝采とともに試合は終わった。

一連の出来事は、全くの無知だった私に、 あたかもラテンアメリカの教会に迷い込み、異国の説法を聴いているかのような錯覚を与え、得体の知れない高揚感を植え付けた。
——————一年が過ぎる頃、私は同じ場所に、同じ好奇心と焦燥感、そして違った緊張感を胸に立っていた。


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かわいい

初めまして。某UTDSブログより先にKDSブログに寄稿することになった事実に未だ驚きを隠せない、筑波大学附属駒場高校2年の髙橋陶太です。ただ、少なからず未練があったようで、序文を書くときに魔力を感じてしまい、いきなりこのブログの雰囲気から逸脱してしまったことを申し訳なく思っています。
今回、私はUPDのマークさんとKDSのばばたくあと組んで出場しました。

時を遡り、夏ADIを存分に楽しんで、帰国した翌日のことでした。ばばたくあから連絡が来ていることに気がつき、開けてみると、
「こんにちは でぃべすすって、大会知ってるかな?」(原文ママ)
当時日吉練で1回会ったことがある程度のばばたくあから変なおじさんみたいな文言の連絡が来たことに戸惑ったのはさておき、密かに、チームのお誘いか!?と心を躍らせた私は、早速返信を。すると、
「パートナーもう一人は今回の秋tのcaの笠原さんなのよね どうかしら?」(原文ママ)
ということだったので、当時、駒場練でお世話になっていた人以外にほとんど知り合いがいなかった私は、新たな成長の機会に内心ガッツポーズで、誘いを即、承諾しました。

ここに”高校生+大学生+社会人”という異色のチームが、大会の7ヶ月前にあたる8月末に誕生したのです。ちなみに、チームネームの「コードギアスス:反逆の化け物高校生」はチーム発足後、ばばたくあの案ですぐに決まったものですが、当時、「いやだ」「ダサい」「そもそもコードギアスってなんだよ!
見たことねえよ!」などと言えるはずもない私が渋々承諾したものであることをお伝えしておきます。

大会の目標として、掲げたのは「優勝」。オープン大会に出場経験のなかった私は、高い目標に困惑しながらも高揚感を持ち、チームとして この目標に向かって約7ヶ月間、練習をすることに決定しました。

それから大会までの期間、マークさんにはかなりの時間の練習に付き合って頂きました。特に秋は、 学校から帰宅してから夜までぶっ続けで5時間のプレパ練に、毎日と言っていいほど付き合ってもらい、ブラックなホテルに勤めていて、心身ともに忙しい中、自分のディベート観を一から作り上げてくれたことに、本当に感謝しています。お蔭で、大沢杯、Titech杯、と色々な大会に一緒に出場したこともあり、意思疎通に全く困らないようになりました。

ばばたくあとは、Tokyo Minaで一緒に組み、特に直前の1〜2週間はかなり練習しました。同じ人に教わっているはずなのに、何故か合わないディベート観に多少苦労しながらも、こちらもチームとして問題ないレベルにはなったと思います。Minaはブレイク落ちしましたが…。

この通り、マークさんとばばたくあ、それぞれとは結構練習したのですが、チームでの練習は、何故か数回のプレパ練と、ラウンド練1日に留まりました。しかも、貴重なラウンド練の日にロール変更案が浮上し、ばばたくあやマークさんがPM(!)、私がウィップ、など色々試したりしたので、練習の機会は実は割と少なかったかもしれないです。結局、ロールも当初のままでいくことになりましたし。まあでも、何とかなるだろうと言う思いで、大会に臨むことになりました。

予選が青山学院大学相模原キャンパス開催、ということでばばたくあの家に前泊した私は、眠い目を擦りながら、前日にタイヤが壊れ、とても扱いにくくなった9年前から使用する派手なスーツケースを無理やり引きずり、会場に向かいました。ばばたくあに「魔剤と違ってトイレに行きたくならないからオススメ」と言われて以来、大会毎に行っているリポビタンDを飲む儀式を終え、いざ出陣!

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楽しそう笑

各ラウンドで私が何を言ったのかは、需要がないと思うので省略します。

R1 Gov. Win
THBT income taxes should be levied on the profit produced by AI robots

取り敢えず勝ち、安心しました。しかし、後でタブを見ると、PMスピーチが74点だったことが判明。リーダースピーチをやる大会で、R1の点数が致命的に悪くなってしまうのを真剣に治さなければいけないなと思いました。具体的な改善策は未だ思いついていませんが…。

R2 Opp. Win
THBT the feminist movement should condemn women who seek to ‘marry rich’

録画される試合に限って満足のいくスピーチができないのはなんなんだ、と自分にイラつきました。この試合のハイライトはなんといっても、
Baba (pointing his Dr Pepper on the podium)
“If you buy Dr Pepper, you deprive Coca Cola of their profit!!!!!”
後でタブを見たら、Stevensenの採点が辛くて萎えました。

R3 Gov. Win
In conservative societies, TH, as the LGBT movement, would actively support lavender marriages

オープン3勝を掛けた試合。今大会で一番満足のいくスピーチができたんじゃないかと思います。クロースな試合だったものの、無事勝利し、ブレイクを確定させることができました。 この試合のハイライトはなんといっても、
Baba
“I’ll really get mad if you take their analysis”

R4 Opp. Loss
THBT being a victim of child abuse should not be a mitigating factor in court

相手がプルアップだったので、こちらはPre-Quo免除、相手はブレイクを賭けた試合でした。八王子の油そばの店で、ブレイクアナウンスメントのリリースとともにR4の負けが確定した時は、意気消沈しました。睡眠時間が2時間削られたことに対してです。
もっとMitigating factorがどう働くのかを綺麗に見せられていれば…という後悔が大きいです。

Pre-Quarter Final Opp. Win 3-0
THW anonymise candidates for political office by making them use digital avatars actors and voice actors in their campaigns

R4と同じ相手、かえるさんのチーム とのリベンジマッチでした。もうちょっとニュアンスをDigital avatarに近づけられていればより良いスピーチができていたんじゃないかと思いますが、無事リベンジを果たせたので良かったです。

Quarter Final Loss 1-2
THBT the international community should allow North Korea to possess nuclear weapons

TH, as Rwanda, would launch a military intervention in the Democratic Republic of the Congoとか言うモーションが分からなすぎて、即vetoしたので、北朝鮮になりました。スプリットで負けました。悔しいです。試合後、Maxにフィードバックを貰いに行ったところ、結局自分たちが考えていたことが、ジャッジが求めていたニュアンスで伝わっていなかったことが敗因だと分かりました。余計に悔しかったです。もっと1st頑張ろうと心の底から思いました。

結果、Quarter Finalistという形になりました。プレパが本当にスムーズで、毎試合が楽しかっただけに、最初に設定した目標をチームとして達成できなかったことが無念です。

ただ、不幸中の幸い、と言うべきか、個人としてRookie Best Speakerを頂くことができました。真に喜ばしい結果ではもちろんないものの、高校の先生と見学し、ディベートを始めるきっかけ、モチベーションをくれた「ディベートのすすめ」で何らかの結果を残せたことは素直に喜ぶべきかと思います。あとは、2週間前に行われたAsian Bridgeで「ばばたくあから優勝を取り上げる」と標榜したにも拘らず、無残な結果に終わっていたので、今回はばばたくあからプライズを取り上げられて安堵しました。

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ここまで、与えられたテーマに沿って、「ディベートのすすめの感想」を書き連ねてきましたが、高校生が大学ディベート部のブログを使うことのできる貴重な機会なので、自分が1年ディベートをし続け、高校生パーラメンタリーディベートの発展に関して考えたことをこの場をお借りして、発信したいと思います。多くの高校生ディベーターと話し、困っている人が多くいることにショックを受けたので、皆さんの一助になればと願っています。

・大学の練習に積極的に参加すべき

前述の通り、高校1年生の3月辺りにディベートの魅力に取り憑かれ、真剣にやることを決意した私ですが、実は私の通う筑駒にはディベート部が存在せず、当初は八方塞がりの状況でした。ただ、幸運なことに、UTDS(東大英語ディベート部)に高校の先輩が居り、高校からも近い駒場練(東大駒場キャンパスで行われる練習会)に参加させてもらえることになりました。以来、約1年に亘り、駒場を始めとする様々な大学の練習会にお世話になっていますが、高校の練習会にはない利点があると感じています。

私の知る限り、高校ディベート界では、パーラメンタリーディベートを指導できる教員が圧倒的に欠乏していて、また、2年周期で部員が入れ替わるため、ノウハウの連続性に乏しく、結果的に練習の効率が非常に悪くなってしまっている、若しくは部内で毎日ラウンド練習をしているが、エコーチェンバー化してしまっているという現状が多いと思います。ディベートを一からやってきて、成長をする上で一番重要なのではないかと感じたのは、練習の方向性です。そして、その「方向性」を比較的高精度で提供できるのは、経験年数の多いディベーターだと思います。やはり、OBなどを通じた連続性のある教育システムを持つ、宇高や渋渋などは強いですし、自分も日々の練習で貰うフィードバックや、大学ディベートに関わることで知りあったマークさんを始めとする方々から得られたものがディベートの上達に一番大きく寄与したと断言できます。実際、大学の練習に顔を出している豊島や浅野も強いです。東大だけでなく、慶応、早稲田や、JPDU練習会など様々な場所で練習は行われているので、是非勇気を出して、大学生と連絡を取って欲しいです。知り合いがいないのであれば、是非Facebookなどを通じて、私に連絡を頂ければと思います。きっと、大学生ディベーターが新歓を兼ねて、優しく教えてくださるはずです。私も、創った部活を安定させるために努力していますが、是非、既に部活がある皆さんにも、積極的に大学練習に参加し、リソースの循環性、連続性、そして練習の効率性を高めて欲しいと思います。

・大学主催の大会に積極的に参加すべき

高校ディベートの主流がHEnDAのアカデミックディベートということもあり、大多数の部が、1年を「アカデの時期」と「パーラの時期」に区切って活動し、結果的に大学で主流のパーラに注げる時間が少なくなっていると思います。また、高校ディベートにおいて、はっきりとパーラメンタリーディベートということのできるメジャーな大会が1年を通して新緑杯、そしてHPDU杯の2つしかないこともあり、年間を通じてパーラに触れる機会がかなり限られているように思えます。大学の練習に参加すべき、と上述しましたが、部活の都合や地理的条件により、厳しい高校生も多いと思います。そのような場合でも、コンスタントに開催される高校生の参加が認められている大学主催の大会に参加すべきだと思います。私は、諸大学のブログの記事を漁り読み、色々な大会を見つけては、参加しました。銀杏杯、ADI、紅葉杯などの学年大会からディベートのすすめ、ICU Tournamentなどのオープン大会まで、参加できる大会は非常に多いです。大学生との試合やジャッジのフィードバック、そして人脈の拡張から得られるものは大きいと思うので、大学生への対抗心を持って是非参加してもらいたいと思います。

・音源・資料などを積極的に利用すべき

リソースに乏しいはずの高校生ディベーターの間で、「音源」の認知度が低くて驚きました。パーラの世界大会にあたるWUDCやアジア大会であるUADC、日本の大会の音源がアップロードされるJPDUチャンネルなど、Youtubeで検索すれば、夥しい数の動画が出てきます。これら「音源」と呼ばれるものは、論題に関するアイデアや、ディベート特有の言い回しなどを習得するのに便利で、シャドウイングすることにより、英語の矯正なども出来ます。実際私は、JPDUのホームページに載っているみつしさんのフレーミングの資料を片手に音源を漁り、WUDC 2010 QFや2016 GF、EUDC 2008 GFなどを始めとした音源を聴き続け、図らずとも暗唱してしまいましたし、アクセントの矯正もしました。音源を聴くことが必須だとは思いませんが、リソースが本当に少ない中でも頼れる、数少ない練習方法だと思います。是非活用してみてください。
まだまだ未熟な私の拙い所感ですが、少しでも、1年前の自分のように、困っている高校生ディベーターの助けになれれば幸いです。
最後に、今までお世話になり、私に成長の場を提供してくださった方々、特に今回組んでくれたマークさんとばばたくあにお礼を申し上げたいと思います。これから1年間、受験という名のマターロードに専念します。「他大学」に依頼される当記事の執筆をもって、早くも慶応大学への門が閉ざされたことをご報告し、結といたします。


Result of Debate no Susume

Semi Finalist
Love Sexy Aloha Pineapple Chopping Pirates(Ryo Hayakawa joint)

Quarter Finalist
コードギアスス反逆の化け物高校生(Takua Baba joint)

Rookie Grand Finalist
ぼっぼしゅ募集中(Hana Muramatsu and Ribong Kang joint)

Rookie Semi Finalist
against SA・TSU・I(Alisa Yamada joint)

2nd rookie best speaker
Takua Baba

Best Adjudicator
Mitsushi Ono

Breaking Adjudicators; Mitsuishi Ono, Hikari Tamura(CA), Kiyonobu Tamai(DCA)

Congratulations!!!🎉


とーたくん、受験勉強で忙しいはずの中執筆してくれてありがとうございました!これから受験勉強頑張って欲しいですね^^