最後のESUJ

ESUJのブログをみっちーさんに書いていただきました!このサイトの開設者である偉大なるみっちーさんですが、なんと意外にも初投稿らしいです!✨ぜひ皆さんお読みください!!!


 

経済学部4年の道上雅大です。10月7日から8日にかけて開催されたESUJという大会に、同期の干場健太郎と出場しました。報告が2ヶ月以上遅れたことを申し訳なく思うと同時に、記事を依頼されたことを光栄に思います。この記事では、大会報告と、ディベートに対して思うことの二点を簡潔に書いていきます。

1.大会全般

A. ESUJ

ESUJとはEnglish Speaking Union of Japanが主催する大会であり、KDSの誇るみつしさん岡さんが優勝された大会でもあります。大学生を対象として開催されるのは今大会が最後だそうで、20年の歴史に幕を下ろすこととなりました。

 

大会は交流の場でもあると思います。参加者の多くが社会人であったこともあり、闘争心と敵対心に溢れた学年大会の殺伐とした雰囲気はなく、非常に落ち着いた雰囲気の大会でした。また、大使をお務めになられた年配の方から、ディベーターとして参加した若者に向けたメッセージをいただきました。お酒が入っていたこともあり記憶は定かではありませんが、おそらく、世界に羽ばたいていけといったメッセージだったかと思います。大学生による大学生のための大会というものは、ともするとディベートコミュニティの外に視野が向かないこともあります。その点、ESUJでは縦にも横にも繋がりを強く感じることができ、新鮮な経験となりました。上の世代の方達の期待を背負っているという責任と感謝を忘れずにいたいです。

 

そんなESUJですが、導入で書いた通り同期の干場健太郎と出場しました。彼も私もディベートからしばらく離れていたため、各スピーカーの役割、何を主張すべきかなど、基礎の基礎を忘れてしまっていました。そのため、大会前の練習では失った勘を取り戻すのに精一杯といった状況でした。さて、前振りはこの程度にして、話をラウンドに進めたいと思います。

ほっしーさん(社内プレゼン中みたい)

ほっしーさん(社内プレゼン中みたい)

B.ラウンド

しばらくディベートをしていなかったため、大会中に勘を取り戻していきました。古典的な議題が多かったように思います。全てのラウンドを振り返る需要はないかと思うので、特に印象に残っているラウンド二つについて述べたいと思います。

 

R1でみつしおか(先輩)チームとのKDS対決が発生しました。打倒みつしおか(先輩)を密かに今大会の目標としていたこともあり、一気に興奮と緊張感に包まれました。モーションは、THW give more votes to the poor. 貧困層に対する投票権を拡大するというよくある論題で、否定側として論じることになりました。肯定側の主な主張は、政治参加において、富裕層は政治献金という手段があるのだから、貧困層に追加で票を与えることは公平化に繋がるというようなものでした。私たちは、貧困層を支援する政策は十分なされていること、そして投票権の本質は市民を無差別に扱うことにあることなどを主張しました。残念ながら負けてしまいましたが、敗因は肯定側の主張に対する直接的な反論が不十分だったことにあったかと思います。色々と学ぶことの多いラウンドでした。

みつしさん

みつしさん

 

R4では、北朝鮮に対し軍事介入を行うといった論題でした。個人的な関心があったため、ある程度の知識がありました。パートナーと合わせ14分しかスピーチする時間がない中で、何を言うか取捨選択することの難しさを初めて感じました。例えば、北朝鮮の核保有は東アジア情勢にどの程度の影響をもたらすのか、米は北の意思決定にどの程度の抑止力を持つのか、関係諸国の動向はどうなるのか。それぞれ詰めようと思えば詰められると思いますが、全てやっていたら時間が足りなくなります。全くしゃべれず7分間話すのが精一杯だった一年生の最初の頃と比較すると、ある種の感慨がありました。同時に、ディベートは知識量だけではないということも強く感じました。知識は最低限前提とした上で、相手との対話の中でいかにディベートを進めていくか、そこに醍醐味があるのだと思います。

岡さん

岡さん

C. UK Squad

さて、私の各ラウンドの振り返りはこの程度にしておき、ESUJの醍醐味の一つでもあるUK Squad(ESUJが招待した英国ディベーターのチーム)によるモデルディベートについて触れたいと思います。端的に言うと、圧倒的な差を感じました。彼らの強さは、知識量や論理の綿密さではないと思います。正直、主張の論理や結論に関しては日本のディベーターも彼らと比べても遜色はないと感じました。しかし表現は比べ物にならないほど簡潔で力強い。これは偏に話術にあると思います。順爾君が過去のブログで同じことを書いていました。ディベートはパブリックスピーチであることを考慮に入れると、最近のマターを詰め込み捲したてる傾向は歓迎すべきものではないのかもしれません。

 

終わったあとに、某先輩たちとモデルディベートを振り返りました。マナーはすごいが、正直某先輩の方が上ですねという会話をした覚えがあります。というのも、UK Squadによるディベートにおいて最終的に勝敗を決めた争点を、先輩方はスピーチの頭からメインケースとして主張していたからです。しかしあとで聞いたのですが、UK Squadは準備時間0でディベートをしたそうです。唸りました。

 

ちなみに肯定側はOxfordとCambridge、否定側はパートナーの干場の留学先でもあるEdinburghとWarwickでした。おそらく否定側の勝ちに終わったと思いますが、日本ではこのようなことはなかなか起きない気がします。Oxbridge等でディベートに数年間費やした人と同レベルになることは極めて難しいと思います。しかし、彼らに追いつき追い越そうと目標を高く設定し努力することは素晴らしいと思います。ディベートを始めたばかりで余裕のある人は、ぜひ目指して欲しいです。

2.ディベート

A. 事前準備なしの魅力

Parliamentary Debateの魅力の一つに、事前準備なしの議論があると思います。準備がないからこそ多様な論題をディベートすることができ、ラウンドのダイナミズムが生まれるような気がします。しかし、いくつか気をつけなければいけないことがあるように思います。一つは、現実に沿う議論をするということです。特に社会問題について議論する際には、ある程度の知識が要求されると思います。ここで事前準備なしがネックになると思いますが、普段からある程度の知識は持つように、ということだと思います。他方で、現実の説明が過多になり型に嵌ってしまうのも考えものだと思います。自由な主張が生まれ理想が語られることで興味深い議論となり、ディベートの魅力が出てくるのだと思います。この現実と理想のバランスに関しては、ある程度犠牲にしなければいけないことかもしれません。狭く深く議論したいのならば別のタイプのディベートをすればいいので、そこは妥協すべきなのでしょう。

B.ディベートとの付き合い方

一、二年生の頃は学業と同じくらいの熱意を持って打ち込んだディベートですが、最近は頭の片隅に収まっているのみでした。しかし久しぶりに大会に出場して、頭を使うことは気持ちがいいなと改めて感じました。普段は関心が届かない事柄について、何がどう問題なのか、誰がどう対処するべきか、そしてそれはどういった影響を生むのかといったことを考えることは大変良い頭の体操になります。ディベートの考え方は独特なのでくせがありますが、楽しいものは楽しいです。何かに打ち込みたい人、休日のインドアアクティビティとして、頭のレフレッシュとして、何でも良いと思いますが、本当に優れた競技だと思います。

みっちーさん

みっちーさん(とても凛としている)

C. 考えることの意義

ディベートの議論は現実離れしていることが多いです。肯定的に捉えると、現実に存在する様々な制約を気にせず理想を語ることができます。否定的に捉えると、議論の多くは現実において意味のない机上の空論となってしまいます。この点を理解することが大切だと思います。だから議論しても無意味だとか、そういう話をしたいのではありません。普段何も考えないで過ごすよりも、考えて過ごす方が遥かに良いと思います。ただ、ディベートだけで完結してしまわないようにして欲しいです。

3. 最後に

雑談が長くなってしまいました。一体こいつは何を言っているのだと思われた方もいたかもしれません。このあたりで筆を置こうと思います。

 

最後に、優勝されたみつしさん岡さんに拍手を。また、大会に必要不可欠であった運営の方々、はるばるイギリスから来日してくれたUK Squadに感謝を。そして、出場を快諾してくれた干場に特別の感謝を。ディベートの魅力を再発見できました。では皆さん、良きディベートライフを。

優勝おめでとうございます!

優勝おめでとうございます!

お二人ともお疲れさまでした!

お二人ともお疲れさまでした!


みっちーさんありがとうございました!めっちゃいい文章で感動しました!!(>_<)

以下がKDSの成績となります!

ESUJ (07,08 Oct)

Champion: Keio Reunion: (Mitushi Ono, Yuki Oka)
Quarter Finalist:Kentaro Hoshiba, Masahiro Michigami)

the Baroness Brigstocke Best speaker: Mitushi Ono
Overall best speaker: Mitushi Ono

次回は、凌霜杯についてのモ◯タ◯さんのブログです!お楽しみに〜!