五里霧中 – Malaysia ABP 2020 までの5カ月

みなさん、こんにちは!今回は18期の淳さんにMalaysia ABP 2020についてのブログを書いてもらいました。ABPについてだけではなく、ディベートの基礎の説明も具体的に説明してくださっているので、ディベート歴が長い方でも初心に戻って基礎を確認しなおすいい機会になると思います✨

それではどうぞ〜👇👇👇


こんにちは!18期の住田です。今回は9月に出場した全アジア大会(ABP)についてブログを書かせていただきました。


Table of Contents

  1. 新たな決意

  2. オンライン大会を放浪

  3. 補足:説明の基礎

  4. Australsを経て

  5. 準備期間

  6. 本番

  7. この5カ月を振り返って

  8. 謝辞


1.新たな決意

去年は就活や中間発表などバタバタしており春T以来ほとんどディベートできない生活を送っていました。リサーチや後輩とのプレパ練で感覚を鈍らせないようにはしていたのですが、大会に出ることは自重せざるを得ずなんとも消化不良…。やっと春休みには再開できる見込みがついたので大会の予定を入れ始めました。

しかしそんななか新型コロナウィルスの感染が拡大して参加を自粛したり大会が中止になったりと、結果的にディベーターとして参加することはすべて取りやめる/取りやめざるを得なくなりました。復帰どころか学生としてまた大会に出られるのか怪しい状況に。仕方ないので学生最後の1年をどうディベートに使いたいのか改めて考えることにしました。

真っ先に思いついたのは地域大会(※)です。以前からWUDC/AustralsでのESLブレイク、ABP/UADCでのオープンブレイクのどれかは達成したいなと思っていたのですが挑戦したことはありませんでした。春秋ともに全国優勝し多少ながら国内ではネームバリューあることに甘んじていたのかもしれません。この安全圏から敢えて出てみようと思い地域大会を目指すことにしました。春学期が始まる頃には徐々にオンライン大会が開催されるようになり、新たな環境と決意のもとディベートを再開したのです。

(※) 英語ではRegional major tournamentsとなり、「アジア大会」「ヨーロッパ大会」などと呼ばれる大会のことを指します。種類としては大学対抗戦(intervarsity)に一部になります。日本と関係があるのは主にABP, UADC, Australsの3つになります。特にこの3大会は認知度が高く、優勝するとHWS Round Robinという有名な招待制の大会へ参加権を得ることができます。

 

2. オンライン大会を放浪

目標を決めたのはいいものの、いきなりチームメイト探しの壁に当たりました。21期はほとんどの人が今年は就活で忙しく、22期には知り合いがほとんどいなかったからです。先ほど少し触れた通り、春休みに入るまでディベートから離れており、直接話したことある22期はたまたま日吉練で一緒だった数人だけでした。そんななかでも組んでくれる優しい人はいたのですが、大会が延期になったり、学事日程が変更される可能性が出てきたりして、チームを解散せざるを得ないこともありました。

チーミングは一旦諦めて、自分の実力をつけようと5月のAsia Pro-Ams Debate(APAD)を皮切りにオンラインの国際大会へ出ることにしました。大規模な大会でなければ組んでくれる人はいたので、約5カ月のうち15回ほど大会に参加しました。航空券代・宿泊代のかからないオンライン大会だからこそできたことだと思います。数字上はハードに見えますが、普段なかなか見ない議論や戦略を取ってくる人を相手したり、音源の中でしか見ないような有名なディベータ―にジャッジしてもらったり、初めて考えさせられるようなトピックを扱ったり、本当に楽しくてあっという間でした。

そのうち自分のディベートスタイルの大きな問題に気づきました。説明の基礎がなっていなかったのです。そこで陶太くん、果南ちゃん、馬場くん、海人くんから詳しいフィードバックを貰い「アイデアを分散させてしまうスタイル」から「1つのアイデアを丁寧に説明しきるスタイル」へと大幅に修正しました。去年の自分が見たら驚くだろうなと思うくらいケースの建て方が変わりました。

 

3. 補足:説明の基礎

それまで自分は「色んなアイデアを提起して、クラッシュを複数個つくり、様々な勝ち筋で相手を上回る」というアイデアをばら撒く方法を使ってきました。社会運動系のディベートなら 1. 選択(choice)に介入する正当性 2. Intersectional oppressionのもとにいる人への影響はどうなのか 3. 社会運動の戦略としてそのポジショニングは効果的なのか といった具合です。

ただし様々なアイデアをスピーチに入れようとするとどの話も説明が薄くなってしまい、「実証が不十分(under substantiated)」だとして評価してもらえないことが多いことに気づきました。そこで1つの強いアイデアに絞り、その話を丁寧に説明することにしました。「アイデアを提起するだけでなく、それを最初から最後まで説明すること」が大事です。この基礎が全てと言っても過言ではありません。

説明することについて気づいたことを以下にまとめます。前提として自分は1つのアイデア(例えばディスコースの二極化とか、バックラッシュとか、まだビッグワード程度の解像度しかないもの)を

  • 現象の説明(「○○が起きる/起きない」という主張)
  • 価値の説明(「○○は良い/悪い」という主張)

という2つに分けています。現象が起きることを説明してそこに価値づけをするイメージです。その2つをそのままアーギュメントにすることもあれば、別の分け方(例えばもっと細かいもの)でアーギュメントを作ることもあります。その前提を踏まえて以下を読んでいただけると多少分かりやすいかなと思います。

  • アイデアをもれなく説明しきること。
  • そのためにも何個ものアイデアを1つのケースのなかで話そうとしないこと(分散させないこと)。
  • 大体の場合は1つのアイデアだけで勝てる。スピーチで話す分量に自信があるのなら複数個話してもいいけれども。
  • 理由づけは言語化された主張をもって論理的に行うこと、ただの具体例は理由でない(argument by exampleはダメ)。
  • Characterizationをするときも具体例をただ投げるのではなく、どういうincentiveがあるのかをロジックで説明すること
    • 例えば「有権者の多くはあまり考えて投票しない」と言いたいとき、ただ「○○の時こんなことが起きた!」と言うのは説明になっていない(○○にはBrexitとかそういうのが入る、これはロジックというより固有名詞を投げているだけ)。
    • そうではなく「死票になる可能性があるのでわざわざ時間と労力をかけて投票先を選ぶことに抵抗がある」だとか「何万といるなかの1票なのでその影響を過度に低く見積もりがち」だとか(これが正しいかどうかはさておき)このようなロジックを立てること。
  • 以下の6要素は(明確にコンセンサスでない限り)抜かさないこと。
  • Premise: 議論の前提(Context, Characterization, 言葉や概念の定義など)、複数あることが多い
  • Mechanism: PremiseとImpactを結ぶ、Likelihoodを保証
  • Impact: 良い/悪いと多くの人が直感的に思える結果、Importanceを保証
  • Counterfactual: それまで話した現象が対となるパラダイムでは発生しないことの説明、Exclusivityを保証
  • Value Judgement: なぜそれまで示した現象が良い/悪いのか、現象に対応するプリンシプルなどを
  • Meta-importance: なぜその議論がこのディベートにおいて(もしくは論題を肯定/否定する上で)欠かせないのか
  • Mechanismは必ずステップバイステップの形で「全てのステップを」証明すること。ディベートとは関係ないがAIDMAが参考になる。
  • Impactを説明するときは「それそのものが良い/悪いのか」と自問すること。内在的価値、道具的価値という言葉をしっていると分かりやすいかもしれない。
  • Impactを説明するときは具体的な人物への影響を話すとミスを防ぎやすい。話している現象の終着点を人にする。
  • 極端で非現実的な話にならないよう、相手からされそうな反論に対して部分的な譲歩(concession)をしながら立論する
  • 参考になるのはAri Kuriがまとめたトランスクリプトにあるアシーシュのスピーチ(これは反論だけれども)。引用するとこんな感じ。太線部が譲歩している部分。

They said, well, things are horrible it’s basically like apartheid in these zones. We’re making huge amounts of progress. True, body cameras haven’t worked. Do you know what has happened? The Democratic National Committee has voted to officially endorse Black Lives Matter. Hillary Clinton, for the first time, a presidential candidate has endorsed Black Lives Matter. At the Democratic Debate, every single candidate was asked, do Black Lives Matter? Not a single one said White Lives Matter, or All Lives Matter, they all said Black Lives Matter. New York has started prosecutions of two police officers who were involved in violence against black individuals. Is this progress slow? Yes, it is slow, but it is progress nonetheless.

  • スピーチの序盤で「自分たちが設定したゴールもしくは問題」と「相手の議論をどう上回るのか(要するに勝ち筋)」の両方とも説明すること。
  • 直接的な反論を打つこと。ポイントは以下の3つ。
  • 相手の主張(X ⇒ Y)と相互排他になるような主張(X ⇒ not Y)であること。
  • 相手の主張(X ⇒ Y)と同時に成立する主張(Z ⇒ not Y)は直接的な反論でない。
  • 相手の結論(Y)でなく理由(X)に対して打つこと。(not Yな理由をいくら述べても意味がない。XとYの繋がりを切るべき。)
  • 反論も立論と同様に抜けなく丁寧に説明すること。反論にPremise, Mechanismなどが必要になることは多い。(Whipの反論として許されるかはその程度およびジャッジ個人の趣向による)
  • 反論の目標は「X ⇒Y ⇒Z ⇒”Motionの肯定/否定”」というロジックの流れのどこかを切ること。

補足すると、アイデアを絞る際は相手の議論や反論を予想しながらしていました。(具体的には紙の中央に縦線を引いて、左には肯定側が話すアイデアを、右には否定側が話すアイデアを書いてラウンド全体を俯瞰しようとします。そこで考えたものをもとにアイデアを絞り込みます。)絞る際は「直感的に納得してもらえそうな議論か」「インパクトはあるか」の2つの基準を使ってどのアイデアにするか判断するようにしていました。東南アジアの大会ではマイノリティの議論がよくされると経験上感じたため、マイノリティに関する話にはどんなものがあるのかも予想してからアイデアを絞り込むようにしていました。

これらの判断軸のなかでも特に「直感的に納得してもらえそうな議論か」は強調しきれないほど大事です。本当にそのアクターはそのように反応するのか/動くのか、その行動が果たしてそのImpactにまで本当に繋がるのか、そのImpactとして述べられたものは本当に良い/悪いものなのか…といった話は直感的に分かりやすくなければ、机上の空論というか、ただロジックで遊んでいるようにジャッジには聞こえてしまうようでした。分かってもらいやすい話をすることが鉄則です。

またここの本旨から逸れますが、Briefingには目を通しておくと良いです。どのレベルの試合でもBriefingにあるMotion Type, Fiatなどのルールは大前提とされていました。(THBT X should … だからneutral third-partyの視点で○○という命題の真偽を問うているわけだよね、Xからの視点ではないよ!だとか、Govと同程度の opp-fiat があるわけだから流石に(そんなややirrelevantな)問題はExclusivityないよね!だとかいった感じの指摘等が飛んでくるイメージです。)あとBriefingに記載されるルールは年々バージョンアップされているので定期的に追うことが大事だと思います。BPスタイルの大会はWUDCでのBriefingの内容が反映されることが多いので、そこをチェックすると良いかもしれません。例えば3年前のABPのBriefingにはOpp fiatについて明文化された記述がありませんでしたが、今年のものにはありました。

 

4. Australsを経て

話を戻します。今年初めての大きな国際大会はAustralsでした。以前から出たいねと俊哉くんと話していたのですが、月曜日から金曜日まで週日丸々重なるスケジュールだったのでチームメイトが見つからず、正直諦めかけていました。締め切り直前にジェインへ連絡したところ快諾してくれて出場できることになりました。準備期間は1カ月かつ初めて組む3人だったのでEFLブレイクできたらいいねと比較的気軽に臨んだのですが、練習を重ねた結果なんとESLブレイクすることができました。予想以上の結果を出せたのは忙しいなか途轍もない労力をチームに注いでくれた2人のおかげです。改めて本当にありがとう。

嬉しい結果を出せた一方、今後どうするか悩みました。当初の目標は達成したのでここでもう挑戦するのは止めてもいいかなと。この1カ月前にWUDCが翌年夏へ延期されたので全ての大会をコンプリートすることに意味を感じられなくなっていました。更にこのタイミングでABPチームを解散することになったので、急に止めても誰にも迷惑をかけないいいタイミングでした。結構悩みましたが結局ABPに参加することにしました。決め手は3年前に参加した時の後悔でした。色々あり、悔いが残りました。やはりこの借りはABPで直接返さなければいけない。そう思い参加することを決めました。

 

5. 準備期間

オーウェンとチームを結成し2カ月間準備を重ねることにしました。チーム練習は特に奇をてらったことをしませんでした。大会に出て、ノートに反省を記録して、定期練に反映しました。定期練は週3回各2時間行い、プレパでの意思疎通の精度を上げることに注力しました。また負荷の高いラウンドで練習したかったので有志とボランティアを募り練習会を運営しました。

個人練習は自分に合ったものにしました。ケースの緻密さと英語のアウトプットに課題を感じていたので、遼介くんに協力してもらい毎朝練習することにしました。音源のあるモーションをプレパして、PM・LOスピーチをして、実際の音源で話されているものを見てみる、という流れを2セットです。海外では大学に入る前からディベートしている人が多いので、経験値を意識的に溜める練習を通じて「慣れ」を身に付けることが結果を左右すると感じたためです。

ABPチームの準備として出た大会は3回です。1回目はスピーカースコアが1点足りずブレイク落ち、2回目は大会のレベルがインフレしていて撃沈、3回目は1位の回数でなんとか最下位ブレイクと結果自体はあまり芳しくありませんでした。ただ出る度に課題を見つけて修正できていたのであまり焦りませんでした。大会結果から推測すると既にブレイク当落線上にいるので少しでも改善できれば行けると思っていました。(余談ですがスピーカースコアが1点でブレイクが左右されることは当落線上にいると驚くくらいよく起きます。自分もそのくらいギリギリだったことが15回のうち3回もありました。1点でも多く獲得する意識が大切です。)

本番直前には海人くんにプレパとスピーチについて客観的なアドバイスを貰いました。チームを長期で組むと自分の癖に気づけないことがよくあるので、このようにチームメンバーをよく知っている第三者に助言してもらうのはとても大切だと感じました。ここでのアドバイスを受けてプレパの仕方を修正しました。これが良い結果に繋がったと振り返って思います。海人くん改めてありがとう。

 

6. 本番

あっという間に2カ月が経ち本番が来ました。初日はかなり幸運に恵まれ順調でした。R1は幸いとても有名なチームのオープニングになったので、よいジャッジが来てくれた上に、比較的簡単にベンチウィンに持っていけました。R2は秋Tで自分が出そうとしていたモーションとほぼ同じ内容だったのでスムーズにプレパできました。2日目の3ラウンドで5点取れればブレイクできる計算でした。

しかし試練はR4に訪れました。競っている得点帯の試合で金融モーションを引いてしまったのです。今年のABPで金融モーションが出ることはDCAの傾向から予想できていました。得意でないことは分かっていたので、詳しい友達(ごっしー)に質問しては教えてもらうことを定期的に繰り返していました。ただこの得点帯なら同じようなことを少なくとも同程度、もしかしたら自分以上にしているはず。DCAのコナーがしていた金融レクチャーを昨日通しで復習したけれど、それもみんな見ているはず…。そう不安になればなるほど頭が回らなくなる…。悪いサイクルに入ってしまいそのラウンドは4位でした。

このタイミングでの4位はとても手痛かったです。それまで2位、1位、3位と来ていたので2位くらいを狙えるのではないかと予想していました。もしそうできれば残り2ラウンドで3点取ればよいので、1ラウンド平均1.5点取れればよく、またR5で4位でもR6で1位をとればいいのでブレイクアナウンスまで希望を持てます。しかし実際は4位をとってしまったので、残り2ラウンドでほぼパーフェクトスコアの5点を取らなければなりません。1つでも苦手な論題が出たらブレイクは厳しいでしょう。そしてIRはまだ出てない。金融が出たのなら難しい(と言われる)分野の論題は予選でも出てくるだろう。

やっぱり自分には無理なのか、そんなに現実は甘くないのか…ネガティブな思考が拭いされないまま昼休みに入りました。暫くして頭に浮かんだのは今まで応援してくれた人たちでした。思い返せば、困ったときにはいつも支えてくれる人がいました。その人の善意を無駄にしないためにも道半ばで諦めるわけにはいかない。気が付けばまた机に向かっていました。もう結果は気にしない、とにかく全力を出し切ろう、少しでもいい試合をあと2回しよう。そう思うことにしました。

やはりIRモーションがR5に。テーマはASEAN。幸運にもジャッジが以前見てもらったことのある人で傾向を把握していたのと、大会前にシェアしあっていたマターファイルがあったため何とか1位を取れました。R6。大学の学費にまつわる論題でOO。「学生個人にとって良いかどちらがどうか」という明らかに大事そうなクラッシュでどうしても勝ちきれそうにない。ケースの方向性が定まらないまま時間が流れていく。思いつくのはGovのケースばかり。しかしここでNTUODOという大会のバブルラウンドでも同様に「大切そうなクラッシュで片方のサイドが勝てそうにない」タイプの論題が出ていたことを思い出しました。そういう場合、そのクラッシュと同じくらい大事な(もしくは同程度に大事だと説明することができる)全く違う話が隠れていることがあります。パラレルになってしまうので1位はとれなくてもこれなら2位はいけるかもしれない。次善策としてクラッシュの焦点を敢えてずらしたケースを急いで建てました。

やはりラウンドではOGがクリアに1位だったので2位に食い込めているかが問題でした。方向性を決めるのに時間をかけすぎてしまい、ケースの説明量が不十分だったので負けている可能性は50%くらいありました。一見不利に見える学生個人のクラッシュでも逆転して取り返せるような議論(silver-bullet argument)が恐らくOOにはあったはずです。それを思いつけなかったことを苦々しく思いながらもブレイクアナウンスメントを待ちました。結果はなんとか2位を守り切ることに成功。11 pts, 954 spks, 31stとKeio Aは悲願のオープンブレイクを達成することができました。(後に知るのですがR6の論題では最も勝ち点を取れたOGと最も勝ち点を取れなかったOOとでは平均獲得勝ち点に倍以上の差がありました。なんとか生き残れてよかった…。)

KDSから馬場くん、俊哉くんのチーム(Keio C)もオープンブレイクしていました。不運が重なり初日苦労していましたが2日目に8点獲得してブレイクです。改めておめでとう。

本選はPartial Octであっさり負けてしまいました。純粋に勉強不足でした。Collusive Democracyなるものにまつわる論題だったのですが、インフォスライドを読む限りそこまで悪いように見えない。恐らくどこかの国でとられているシステムなはずだけれど具体例が思いつかない(後に調べたらすぐ出てきました…)。論理的には成り立つOppのベネフィットを崩せないまま試合を進めることになってしまい3位。対策の詰めが甘かったです。

 

7. この5カ月を振り返って

① やはり嬉しい

ABPオープンブレイクを達成できたのはとても感慨深いです。日本からは史上5番目、KDSからは史上初。AustralsでのESLブレイクと合わせて、3-on-3とBP両方のスタイルで満足のいく目標を達成することができました。

② ディベートが楽しかった

ここまで本当に楽しかったです。頭を15分間フル回転させてケースを用意して相手のケースへぶつける、高速で展開していく試合に必死についていく。予想だにしない論題が出てくる。鋭い反論が何個も来る。パンクしそうになりながらもそれを往なしていく。試合に入るたびワクワクしていました。こんなにスリリングな経験はなかなかできないと思います。緊張感に押しつぶされそうになりながらも虎視眈々とブレイクを狙うあの感覚が、大会からまだほとんど経っていないのに懐かしいです。楽しめたのは練習に打ち込む上でとても大きかったと思います。スピ練、音源分析、リサーチ、プレパ練、ラウンド練、どれも何か得るたびに嬉しく、特に朝練では音源分析で良いスピーチを見つけるたび朝から感動していました。

③ 無敗という幻想

海外大会に出ていると、想像以上の相手に勝てることが結構ありました。ABP finalist × 3、EUDC finalist、Australs final chair、WSDC Team England出身者…実績を試合前に見たらすくみ上っていただろう相手ばかりです。これは別に自分がすごいのではなく、そもそもディベート競技では往々にして起こるものだと考えています。自分の経験に照らし合わせても、今年はかつてないほど調子よく実績を残せた一方で、いままでで最も練習に負けた年でもありました。無敗ということはディベートではそうそうないことだと、改めて認識しました。

 

8. 謝辞

本当に今回はたくさんの人にお世話になりました。オーウェンがAPADに誘ってくれなかったらオンライン大会に出ていなかったかもしれません、カリースから激励の言葉をかけてもらってなかったらABPに参加してなかったでしょう、後田くんが提供ジャッジを引き受けてくれなかったら出場できませんでした。陶太くん・果南ちゃん・馬場くん・俊哉くん・萌黄ちゃん・Pokeがいなければ練習会に人は足りていなかったでしょう。お忙しいなか溝上さん・もときさん・榎本さんは練習を見てくれました、ディベータ―で出るわけではないのに朝練を遼介くんは快諾してくれました。恵里花ちゃん、マス、俊哉くん、陸くん、片山さんと組んでWDO、NTUODO、RMO、TAYDO、Yale NUS Pro-Amsに出たことがABPの予選で本当に役立ちました。ありがとうございました。

そして自分のディベートの基礎を築いてくれた先輩にとても感謝しています。なかでも毎回練習で丁寧で前向きなフィードバックをくれた翔さん。一番困っていたBP Noviceの時期に音源やマターを教えて下さった安藤先輩。教えていただけていなかったらディベートを続けられていなかったと思います。改めてありがとうございました。

最後に一番大事な人として、同期で会計を務めてくれた桃子姉さんこと牧元桃子には本当に感謝しています。18期が執行部になった当時、財政状況が悪化していたKDSは存続すら危ぶまれる状況でした。そんななかお金を地道に回収し、手書きのノートで全ての収支を記録し、それまで形骸化されていた会計システムを立て直してしてくれたのは他ならぬ桃子でした。あの時、財政が立て直されていなかったらKDSがいま存在していなかったでしょう。その後4年間どこかのタイミングで必ず収拾がつかなくなり、多くの部員が去っていっていたことだろうと思います。海外大会参加者を支援する枠組みなどありえなかったですし、それは練習環境にも大きく影響しただろうと思います。いまのKDSがあるのも、いまの自分がいるのも、すべてはあの時に桃子が尽力してくれたお陰です。本当にありがとう。


Results of Malaysia ABP 2020

Open Octofinalist: Keio C (Takua Baba, Toshiya Ozawa)

Open Pre-Octofinalist: Keio A (Atsushi Sumida, Owen Park)

EFL Semifinalist: Keio D (Jayne Yu, Takushi Kobayashi)

EFL Best Speakers:

2nd: Atsushi Sumida

3rd: Owen Park

5th: Takua Baba

8th: Toshiya Ozawa

10th: Takushi Kobayashi


あつしさん、ありがとうございました💫