Osawa cup〜Third time’s a charm with my accomplice〜

今回は、KDS18期の駿介さんに、大沢杯のブログを書いて頂きました!


 

大沢杯

慶應4年の神田駿介です。
そもそも読者が私を知っているのか、心配です笑
簡単に紹介しますと、私はディベートにコミットしていた2年前と比べ、現在は色々な企業の長期インターンをしています。

読者はおそらく、慶應の「後輩」が多いと思うので彼ら/彼女らに向けて書きます。

・大沢杯について
①コードギアスのコスプレをしました。
(視聴をおすすめします)
オタマートというオタクが使うフリマで12000円で購入しました笑

大沢杯
②GFまで行きました。
パートナーとは一昨年、昨年と出てあと少しのところでブレイクできなかったので、三度目の正直ということで非常に嬉しかったです。いつもありがとう。

大沢杯2
・このブログの趣旨
私は大学生活4年を通して、ディベート以外にも長期インターンを何社かやったりしていました。
その中でディベートが上手くなるには、仕事ができるようになるためには、を常に考えて過ごしてきました。
その中で
「人が何かしらのことを上手くなるには何を意識していた方が良いのか?」
というのを自分なりの解答ですが、抽象化してみました。

後輩の皆さんにはぜひディベートが上手くなってほしいので、それについて書いてみようと思います。

※自分なりの答えなのであくまで一例であり、全ての人に当てはまることとは思いません。
0.「ディベートが上手くなるには何を意識しておく?」という話をするにあたり。

大前提として
「ディベートを本当に上手くなりたいか?活躍する姿を想像することができるか?」
というのは一度問いかけてみてもいいかな、と思います。
違うな、と思ったら別に上手くなる必要はないと思います。本当に。
他のことをしたい、と思っている本当の自分がいるならそっちに行った方が幸せな状態だと僕は思います。
(とは言っても、この話は何か上手くなるために広く当てはまる事柄だと思っているので読んで頂けるとすごく嬉しいです笑)

1.ディベートが上手くなるには

4つのアドバイスがあります。

①まずはディベートに対して一定の時間をかけること
②素晴らしい先人の知恵を徹底的に真似たり盗むこと
③1回のアクションに対して工夫する量を多くすること
④全体として、どれが投資対効果がいいか考えて、良いものは残し悪いものは容赦なく捨てること
ディベートが上手くなるには?
①まずはディベートに対してある程度時間を投下すること
→特に初心者がディベートで上手くなるにはまずはディベートに対して関わる時間を増やすのが良いと思います。

なぜ??
理由⑴
ディベートはテーマが広すぎるので、少々音源を聞いたり何ヶ月か練習した程度では常に良いパフォーマンスを安定して出し続けるのは難しいからです。
自分が得意なモーションが大会に出て実績を残しても、次の大会では不得意なモーションが出て実績を残せない可能性は大いにあります。

理由⑵
ディベートに時間を割く時間が長くなればなるほど、あなたは他の人よりディベートについて知っている可能性が高くなります。それが結果的に相対優位に繋がるので勝つ可能性が高くなります。

ex)
ほんの一つの尖った例として、私がかなりディベートにのめり込んでやっていた時の話をご紹介します。
昔、日吉で練習がない時は授業終了後、図書館でひたすら1人で午後4時くらいから図書館が閉館する時間までディベートのことを考えていました。そのあとの帰りの電車では絶対にディベートに関連する本を読むようにしてました。夜寝る前は音源を聞いてました。また、土日は大会か一人で家にこもって同じようなことをしていました。
ディベートにフルコミットしてた2年間は毎日こんな感じだったと思います。

しもんさんの過去ブログでも同じようなことが書かれていたので、ある程度量で押し切ることがディベートが上手くなるのに貢献しているのでは、と思います。

例えば、今の3年生の田村君も熱意を持ってディベートにかけた時間量が相当多いのではないのかと思います。

結論としては、
「ディベートに対して関わる時間量を増やすこと」を推奨します。

②素晴らしい先人の知恵を徹底的に真似たり盗むこと

なぜ??
理由(1)素晴らしい先輩が教えてくれることは、不必要な情報を取り除いた上でのディベートで使いやすい有益な情報であることが多いからです。
ex)
僕が1年生の頃ディベートで何から始めたらいいのか分からなかった時、みつしさんのマターノートB5で両面120ページくらいを全部手書きで写したことがあります。(あとみつしさんが書いてたワールズのモーション解説も全部書いてました)
とても時間かかりましたが、段々と古典の論題のアーギュメントで何言えるか、こういう議論にはこう返すとかが体系的にわかるようになってきました。

素晴らしい先輩たちの質の高い情報に触れることで、効率よくディベートの中で使えるアーギュメントやディベートの考え方を知ることができます。
③1回のアクションに対して工夫する量を多くすること
→1回練習すること、音源を聴くこと、読書すること、に対して地道な工夫をどんどん重ねていくということですね。

なぜ?
理由(1)
ビギナーの頃は量をこなすことで、なんとかなる場合も多々あるんですが、次のステージでは同程度の量をこなしているディベーターとの戦いになるからです。
量を保持しつつ質を上げていかないと、だんだん彼らとの相対優位が無くなるからです。

分かりやすい例は、普段の練習です。
ex)
練習に行く→フィードバックをもらう。

練習前にマター集め。
練習中に蓄積したマターや表現を使用。相手チームの上手いところを盗む。
練習後にさらにフィードバックを受け、リサーチし、自分のマターノートに書き込む等。
(特にわからないものをわからないままにしないのは非常に大事です)

これは基本的な形ですが、もっと工夫の余地はあると思います。(例えばモーションの復習リサーチには何を使うか?等)
つまり、1回のアクションにおける学びを極限まで引き上げてみて下さい。
同じ時間で相対的に高いパフォーマンスをだすには質をあげるしかないので。

④全体として、どれが投資対効果がいいか考えて、良い方法は残し、悪い方法は容赦なく捨てる

なぜ??
理由(1)
あなたの現時点の能力の強みや弱みを把握した上で、最大限の結果に繋がるための練習を取捨選択した方がパフォーマンスが上がるからです。
※この投資対効果の話はとても個人差があって、自身の成長ステージによって変わってくるので何が1番自分の結果に繋がっているのかを真剣に考えてみるのが大事です。
「なぜ勝利したか?なぜ負けたか?」を徹底的に繰り返すことで何が結果に繋がっていて何が繋がっていないのかを判断することができます。
優先順位付けとしては様々なものがあります。
①音源>>マターノート>>>海外記事>>普段の練習、フィードバック>本

②普段の練習、フィードバック>>マターノート>>本>>音源>>海外記事

※人によって使える時間等は様々なので、結果が出る方法を何度も何度も自分で模索し続けることが大事です。

例)私自身の一例
私自身が結果的に何が投資対効果良かったのかな、と思えるものは上から順に
先人のマターノート>>音源≧ドキュメンタリー≧本>>>>超えられない壁>>記事>普段の練習×フィードバック

マターノートの話はしたので、それ以外の話をします。

❶音源
理由としては、そのまま強いディベーター議論を同じ論題でパクれば勝つ確率が上がるからです。

・どの音源を聞いて最終的にどう活用する?
など最終アウトプットを考えながら聞くとよいと思います。ただ聴くだけは投資対効果が極端に下がるので気をつけましょう。
(簡単にチェックする方法として、あの音源の誰々のアーギュメントの〇〇や表現が良かった、という感じで具体的に言えれば次使えます。)

私もおそらく200くらいは音源を聴いてる気がします。半分くらいはまだ中身を多分言えると思います。

❷ドキュメンタリー
ドキュメンタリーは結構使えます。

理由)
・ディベートの論点になりやすい動画が豊富
・生の声をインタビューしてるのでイラストがそのまま借用できる、感情のこもったスピーチがしやすくなる
・知らないテーマを非常にわかりやすく教えてくれる
・動画なので本より頭の中に情報が入ってきやすい、覚えやすい。
(例えばフランスでISISに参加する若者の置かれた環境とか心情とかセリフとか2年前ですがまだ覚えています。)
・夜ご飯中など空いてる時間で見やすいなどの利便さ

ということであまり方法としては知られていませんが、結構役立った記憶があります。
NHKが最高品質のドキュメンタリー番組を出しているので是非。『BS世界のドキュメンタリー』と言います。

❸アカデミックな本
ディベーターは学術的な世界で既になされている議論をそのまま拝借していることがほとんどなので、大学等の学術的な良質な本をとにかくたくさん読んで考えるのが良いと思います。
良質な本は物事を体系的に多角的に構造的に説明しているので、モーションを広い視点から見ることが可能になります。
(ディベーターの中でアカデミックなレベルの話ができるディベーターは少ないので本を沢山読むと相対優位に繋がります)

例えばですが、中絶の論題で、ハンスヨナスの理論知っていますでしょうか?

例えば、黒人フェミニズムの論題を見てベル・フックスとか聞いたことありますでしょうか?

例えば開発援助系の論題を見てサックス・イースタリー論争とか聞いたことありますでしょうか?

別に学者の名前を暗記して欲しいわけではなく、私が言いたいのは、色んな論題の背景にはその道のプロフェッショナルがいます。彼ら/彼女らがどういう理論を持ってどういう考えなのかをまず知ることで、自分の議論のレベルが上がると思います。活かせない議論もあると思いますがそれは取捨選択しましょう。

普通に練習でフィードバックを受けただけだと、このアカデミックなレベルには到底辿り着けません。「1人で」良質な本を沢山読んで沢山考えてほしいです。最初のおすすめは「入門」とか書かれているその道で優秀な学者の本です。

僕もそんな多くはないですが150〜200冊くらいは2年程度で読んでいた記憶があります。Amazonで中古でレビュー高評価の本買ってました。
1週間に1.5〜2冊の本を読む、くらいのペースですかね。

ーーー超えられない壁ーーー

❹記事
ニュース記事は事象に対する断片的な事柄や考察が多く、構造的に多角的に物事を捉えるには不十分だな、と判断したためあんまり使わなかったです。IRと最新のニュースを知るためぐらいの認識です。

❺普段の練習×フィードバック
ディベートで戦うというペースや感覚を崩さない×自分が大量に蓄積したマターのテスト(ジャッジが納得してくれるマターかどうか)で使用しました。勝ち負けも好きでしたが、基本的にはどういう理由で勝つのか負けるのかの効果検証用でした。
フィードバックは必ず聞くようにしていましたが、やはり喋る中で得られる情報量は文字媒体より少ないので効果がそこまで良くないと判断していました。
※ただ、多くのビギナーに当てはまるのはおそらく、投資対効果が悪いというよりもディベートにかける総量自体がそもそも少なすぎて全体インパクトが無くて勝てないという現象が多いと思うので、まずは投資できる時間あたりの量を増やす必要があるのではないかと個人的には思います。

※最後にもう一度念を推しておきますが、別にこれは一例であって全ての人に当てはまるとは思いません。
ただ、今現時点でディベートをやっている後輩たち、これから入学してディベートを始める新入生たちにとって参考になれば、非常に嬉しいです。

2.長期インターンの話
僕が現在ディベートにフルコミットしておらずインターンをしている理由は、将来企業で働く自分にとってビジネス経験が足りてないと感じそれを補う必要があると感じたからです。
自分のありたい姿への投資を考えた時にディベートへの時間への投資をする必要よりも色んな環境で働くという経験をプラスした方がいいと判断したからです。

ただ一つ言いたいのは、ディベートで死ぬほど考えた経験は、長期インターンでもかなり役に立ちました。一つ一つのアウトプットのクオリティだったり、大量の情報が溢れる中非常にスピーディに対応できるようになったりしたのはディベートに真剣に向き合ったからだと思っています。

なので、ディベート真剣にやるのいいよ!って言いたいです!
3.ディベートという経験そのものの価値

他にも特にディベートというのは非常に稀有な経験ができる場所だと思っています。
・超実力社会
・処理しなければならない情報が膨大にあるチャレンジングな場所
・複雑で難しい話をわかりやすく読み解き人と英語で議論できる場所
・世界のトップと対戦できる場所
(僕は2年前のHKDOでOxfordのディベーターであるLee Chin Wee(昨年のworldsのセミファイナリスト)と2度対戦して2回ともボコボコにされました。確か自分より1個下だったと思いますが、『どうやったらこの人に勝てるのか全く分からない』という衝撃がありました。どうしようもなく貪欲に頑張ってもたどり着けない境地が存在するような感覚に襲われました。ある意味で痺れるような感覚とはこういうことかな、と。ただ、人生でそこに立ち会えてよかったと思えた瞬間でした。)

こういう環境は他を見てもあまりない環境だと思います。その意味で大学生活の中でディベートに存分に時間を捧げることは価値があると思います。
4.さいごに
一緒に出てくれたパートナーには感謝しきれてもしきれないです。いつもありがとう。


 

Result of Osawa Cup

Champion; Rreim’s nosebleed sucker (hikari tamura joint)

Grandfinalist; コードギアス反逆のみなちゃん(Shunsuke Kanda joint), Love sexy do you know Ikeda Eliza (Mitsushi Ono, Sayaka Nakano )

Best speaker :Mitsushi Ono
3rd best speaker :Sayaka Nakano
5th best speaker :Hikari Tamura

DCA : Ryo Hayakawa


駿介さん、とても参考になるブログ、ありがとうございました!