Titech Cup ~Love Sexy Generation Gap~
韓国にPCを持って行き忘れてしまい、更新が遅れてしまってすみませんでした💦💦1月13日に行われたタイテックカップについて、またも大先輩のみつしさん✨に書いていただきました!大会中にみつしさんがどう考え、ディベートをしているのかが分かるとっても具体的で実践的な内容になっていますのでぜひ読んでみてください!😊
皆さま
お世話様です。
久しぶり書かせていただきます。みつしと申します。
Titech Cupの感想書かせていただきます。実はですね、Titech cup出場するの7回目くらいです。。。感想といってもなかなかアレです。
干場君のRyoso Cupの感想文が名文過ぎるのでその後に書くのは非常に忍びないです。
ちなみにほっしー君とは仲良くさせていただいておりましてたまにご飯とか食べに行きます。みんなも来てください。
優勝してないのであまり書くことはないですが、頑張って何か書きます。
以下の3点を書きます。
Table of contents
・Love Sexy Motivation: 出場のきっかけ
・Love Sexy Preparation: 自分のチームのプレパの仕方
・Love Sexy Case Study: 予選各ラウンドのケース
<Love Sexy Motivation: 出場のきっかけ>
高校生決勝行ったら面白いかな?
渋谷教育学園で固めたらなんかいいかな?
ベテランが沢山出る大会で高校生が決勝行ったら面白いかな?と思い渋渋の後輩であるルアナを誘いました。主人公の高校生が迫り来る強敵達を倒していき、予選の最終ラウンドでは同じLove Sexy流派対決、最後の決勝でラスボスのロシア人と対戦するっていうストーリー面白くないですか?僕は面白かったです。試合をこなす度にどんどん強くなる主人公が見れてエキサイトしました。
実は、自分が初めてTitech Cup出たのも高校生の時でした。高校1年生の時だった気がします。こよっしーさんとでました。
デリさんのチームと、中川ちひろさんのチームに予選で負けてブレイクできなかったです。何年前でしょうか。。。当時の自分と比べると今の高校生の方が5000倍くらいうまいです。
最近は高校生へのコーチングを行っているので、教えてる高校生と組んで大会に出てみるのも効果的かなと思い始めているところでした。実際にガチモードで一緒にプレパすると初めて見えてくることもあるかと思いました。プレパのスピード感とスタンス、ストラテジーの作り方は実際に体感してもらはないとなかなか教えられないなと思います。
あと自分は渋渋の卒業生なのですが、パートナーの内山さんは渋幕の卒業生なのでなんとなくいいなぁと思いました。
ルアナに内山さんの圧倒的なマター量と安定感、スタンス決める速さを体感してもらいたいという思いもありました。
<Love Sexy Preparation: 自分のチームのプレパの仕方>
◇Vetoの方法
Asianは3つの論題の中からやりやすいものを選ばなくてはいけません。
自分は論題選びは以下の基準で行います。
・パッとシンプルでストレートな話が思いつくか?(ディベーターじゃなくても理解できそうなlove sexyな話)
・コンテクストが思いつくか?
・moral high ground取れそうか?
・反対側に変なカウンタープラン打たれないか?
・リーダーが話し易そうか?
皆さま他にどのような基準で論題を選んでいるのか、知りたいです。
個人的には最後の、リーダーの人が話しやすいかどうかが大切だと思っています。どれだけdeputyとwhipが盛り上がってもリーダーの人がイマイチ理解していないと結局強いケースになりません。AsianはDynamicsを考えると、本来リーダーが大切なことを全て話してチームを引っ張っていく競技です。大将・ベテランが後から深い話を後出しじゃんけんする競技ではないはずです。そのような戦い方はSexyじゃないですし、フェアじゃないと思っています。
◇プレパの方法
プレパレーションに関しては以下が流れと目安時間です。
・個人プレパ8分程度
・ディスカッションを通しての融合、スピーチ原稿への落とし込み10分
・スタンスとモデルの最終調整3〜4分
・時間配分の確認30秒
・時間が余れば戦略を考える
メンバーの一人一人がそれぞれに完成させたケースを持ち寄って、融合させた方がディスカッションしながら進めるよう数倍アウトプットの質が高くなります。
ディスカッションはそれぞれが完成させたケースをどう融合させるか、どのロジックをどの箇所で説明するか、説明の方向性。議論の展開の方向をどうするか、どこまで何を証明するか、どの議論にどのくらいの時間をかけるか、レトリックはどうするか、などを話し合うために使います。アーギュメントを考えつくためにディスカッションはしないです。それは時間の無駄だと思っています。
◇余力があったら
メンバーとwhipはスタンスシートとexampleリストを作ってあげるといいかもしれません。
スタンスシートはチームスタンスとモデルが書いてある紙のことです。慣れてくれば全員スタンスが頭の入っているのでいらないと思いますが、自分は作ること多いです。全員がスタンス確認できると安心して一貫性のあるスピーチができると思います。
Exampleリストは、その論題に関係のある、使えそうな具体例がひたすらに書いてある紙です。自分は1つの試合で6〜11個の具体例があればいいかと思っています。使わないにしても書いてあると何かと役に立ちます。
<Love Sexy Case Study: 各ラウンドのケース>
◇第一試合 Government
THW reduce public funding to universities where members of oppressed communities are disproportionately underrepresented.
この論題を選んだ理由は
・政策の内容が補助金を「減らす」なのであまり証明責任が重くないから
・弱い人達を守る立場にあるのでmoral high groundをとりやすいから
・政策論題なので議論しやすいから
・コンテクストが何となく思いつく
・リーダーが話しやすそうだったから。(※ここ大事)
争点と説明・証明責任を整理します。(モーションが決まってから2分くらいで。個人プレパ内で。)
・具体的にどのようなコンテクストを想定しているか?
・具体的にどのような問題に直面しているのか?(具体例6個くらい欲しいなぁ
・補助金を減らすと誰が何をしだすのか?
・補助金の基準と性質はどのようなものか?
・似たような前例はあるか?
・大学とはどのような場所か?
・誰の権利と誰の権利のトレードオフなのか?
これをもとにポイントを作ります。
個人プレパ8〜10分
それぞれが自分なりに「完成されたcase」を持ち寄り合体させる。
合体のさせ方に関して多少ディスカッション(どのマターをどこで言うか、スタンスはどうするか、構成はどうするか、サインポスト、アサーションをどう表現するか)
以下の2つのポイントにしました。
1: マイノリティの学問の権利が構造的に不当に侵害されているため補助金の正当性が無い
2: 補助金を人質にすると、大学内でのマイノリティへの弾圧が軽減される
戦略 (プレパ最後の2分〜PMスピーチ中にかけて)
・勝つためにはまずburden controlをしっかり行って、「ここまでは政策で解決しますよね!?」と範囲を明確に定めてwhip~replyにかけてフレーミングしていくことが必要だと思いました。ある程度リーダーではsolvencyの風呂敷を広げておいて、試合の流れを見て、解決性の切り取る範囲を定めていくイメージです。賛否両論ありますが、リーダーでは多少風呂敷を広げてインパクトを出しに行く見せ方の方がクラッシュが広がり楽しいと思っています。もちろん雑に全部問題解決します!はNGですが。
・相手のハームをコンシードした形で比較もしくはフリップに持っていくのが後半戦の戦い方かなと思いそのあたりのシナリオをStrategy用紙(戦略設計図)に書いておきました。
1)バックラッシュが起きる →バックラッシュは起きた方がいい。そうでもしないと世間が注目しない。
2)多数派が怒る →怒れ!They deserve it!ストライキの時と同じメカニズムで、最初はキレるけど嫌な状況を改善するためにアクションをとざるをえなくなる的な流れにしていけばまぁね。
3)大学の独立性とAutonomyを尊重すべきだ。政府が政策の一環として大学機関を道具として使うべきでない。Academic freedom and liberty!
自分がOppだったらこれ言うなぁ。。。強いプリンシプルだけど1)絶対性がないことを指摘して2)比較に持っていくで対処しよう。
◇第二試合 Opposition
THBT the IMF should not bail out Pakistan.
これ定冠詞のtheいるの?って思って調べたけどいるみたいですね。
この論題を選んだ理由は
・IMFはそんなに良くないかもだけど中国よりはマシって言いやすそう
・IMF現実には失敗してるけど理論上は守りやすそう。個人的に自分が経済的にはNeo-Liberalistに近いのでIMFの政策理論は説明しやすい
・IMFの介入で財政難が改善すると説明するのは難しが、肯定側もIMFの介入なしの状況、もしくは中国の介入で財政難が改善すると証明しなければならないので同じ程度の証明責任を負うのでフェア
争点と説明・証明責任を整理します。(モーションが決まってから2分くらいで)
・具体的にどのようなコンテクストを想定しているか?Info slideに書いてあるから楽しくないなぁ
・IMFなしの状態ではパキスタンの現政権が自助努力で財政回復できるのかできないのか?
・IMFが介入するとうまく財政が回復するのかどうか?
・IMFの利害と責任にパキスタンへの介入はどう絡むか?
・中国が介入する結果、財政回復するのかどうか?
・中国の介入で財政回復した結果何を担保として奪われるのか?
・そもそもなぜパキスタンは財政難に陥ったのか?
・財政政策と経済政策の違い
上記の争点を基にから下記のようなアーギュメントを作りました。(8分くらいかけて個人プレパ、その後15分くらい話し合いながら融合・調整していき丁寧に皆でポイントを作っていきました。)
Incompetence of the current regime in Pakistan;パキスタンの現政権は財政回復能力がなく、悪化の一途をたどるためIMFの助けが必要
IMF bailout will minimize financial deficit: IMFの介入で財政難が軽減される。
Risk of China’s investment:中国の資金流入はパレスチナの安全保障のリスクになる。
スタンスは下記の様にしました。(プレパ中行ったり来たりしながら調整しました。)
・IMFは完璧ではないけれど中国の介入よりはよっぽどマシ
・SAP導入は程度を調整すれば導入可能。
◇第三試合 Opposition
THW legalize publication and revision of previously unpublished works by dead authors without their prior consent.
この論題を選んだ理由は
・マイケルジャクソンの死後彼の未発表曲が入ったアルバムがリリースされて、ソニーミュージックすごい〜って思ったことがあったから。
・「同意なし」の肯定側の証明責任が重そうだと思ったから
・そもそも作品が出てこなくなる、というハームが肯定側のベネフィットの前提
争点と説明・証明責任を整理します。(モーションが決まってから2分くらいで)
・具体的にどう言う作品が対象か?
・なぜ出版・発表しなかったのか?
・作者のインセンティブはどう変化するか?
・著作物・作品に対しての作者の権利の範囲はどこまでか?(著作権は50年有効でその後パブリックドメイン化)
・生前の意思は死後どこまで有効か?(遺書、遺言、臓器提供など)
・出版社(編集部)/音楽であればレーベルと音楽出版社と事務所、作者本人、遺族の力関係はどうなっているか?
・芸術の特殊性をどう捉えるか?
上記の争点を基にから下記のようなアーギュメントを作りました。(8分くらいかけて個人プレパ、その後15分くらい話し合いながら融合・調整していき丁寧に皆でポイントを作っていきました。)
そもそもいい作品が世の中に出てこなくなる。(生前に壊しておくか、見つかるの強いので過激なことは書かない!)
生前に下した判断は死後もある程度有効
戦略としてはプリンシプルはある程度肯定側も強い話ができるので、プラクティカルなハームをしっかり立てて、そこで勝ち切るイメージでした。なのでハームを1st pointで3〜4分かけてしっかり説明して、残りの時間をprincipleを「添える」形で出すというcaseの作り方をしました。
3試合の解説をして伝わったと思いますが、リーダーとメンバーはアーギュメントを考えるのに時間を使っていると思いますのでwhipは論題の争点を整理して証明責任を抜き出したり、可能なシナリオを検討して戦略を考えると効果的に準備時間を使えるかと思います。
決勝は会場にいた人は見ていたと思うので省略します。
予選はそれなりに順調で、1位ブレイクすることができました。
組んでくれた2人、お疲れ様でした。
上記、解説しましたが何もトリッキーなことはしていないです。上級者になればみんなが知らない秘伝の奥義があるのではないか?というアニメ的な展開が期待されがちなのですが、そんなことはない気がします。基礎に忠実に正々堂々とケースを作ればいいのではないでしょうか。知識の量や考え方はディベート歴が長くなるにつれ深まっていくとは思いますが、テクニックに関してはそんなに種類は無いと思います。
基礎が出来てきたら、ガムシャラにディベート練習するより家で本読んで勉強した方がディベートうまくなると思っています。いわゆるアカデミックディベート的な「リサーチ」とは違うと思っています。教養を身につけ、「考え方や理論」できれば歴史的経緯を知るということです。事件や事実の知識はあくまでその一環だと思います。いわゆる「リサーチ」はなんというか付け焼き刃な概念な気がして、、、。
ということで、
それではまたどこかでお会いしましょう。上達のスピードは人によって違うので焦らず頑張ってください。
周囲の心無い発言やノイズは全シカトして、自分らしくディベートを楽しんでください。
May the force be with you.
Result
Grand Finalist:Love Sexy Generation Gap(Mitsusi Ono joint)
CA: Hikari Tamura
DCA: Kaito Suzuki
みつしさん、素敵な内容のブログをありがとうございました!Love Sexyなディベートスタイルこれからも期待しています!✨